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つだみつぐ
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novelistID. 35940
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ひとつだけやりのこしたこと

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【さとみへのメール 2011年4月13日 6:19】


もう一度、会いに来てくれませんか?

「4年なんてすぐだよ。すぐ一緒に暮らせるよ。」というさとみの言葉はわたしの人生の唯一の希望だった。疑う理由も、疑う余地もなかった。
さとみがわたしよりもほかの男性を好きになってわたしの方を捨てる、という事態は、わたしは全然思いもしなかった。

なぜ、だめになったのだろう、なぜ、わたしはいつもすべてを失うのだろう、これほど愛し合っても悲しい結末になるのは、わたしのどこがいけないのだろう、と悩み続けて、つらすぎて、一睡もできなかった。

さとみが自分の足で歩くこと、自分で決めて、自分のしあわせをつかむことをわたしは願い続けた。
それは実現した。
ただ、それはわたしにとってほかのどんなことよりつらい結果になった。


お願い。
せめてもう一度だけさとみに会いたい。さとみを抱きたい。もう会えない最愛の人、人生でただ一人心から好きになった人をこの目に焼き付けたい。この手に記憶させたい。
これからわたしはさとみとのしあわせだった頃の想い出だけを支えに生きるのだから。


さとみのしあわせを考えたら黙って身をひくべきだとも思う、わたしのわがままかも知れない。
でも、わたし、さとみに一度もわがままを言ったことないよね。最初で最後だから、一度だけ言わせて。

会いに来て。お願い。

ケンちゃんと愛し合うのはそれからでも遅くないでしょ。それぐらい待たせたっていいでしょ。わたしたち誓い合った恋人同士なんだから。


【さとみからのメール 2011年4月13日 9:59】

>もう一度、会いに来てくれませんか?
行きます。
でも、6月まで待ってくたさい。

>なぜ、だめになったのだろう、
ごめんなさい。
私が悪いの、私の選択は間違っていると思う。
自分でもよくわからない何かに動かされたみたいで。

つださんに手を引かれ歩き始め、少しずつ手を離し始め、独りで歩けるんだと自身がつき、楽しさを知りました。
私はまだ駆け出しでそこから手を取り合う楽しさがあるはずなのに、独り歩きができることで有頂天になり、つださんの手を離してしまいました。
ずっとそばで見守ってくれている人がいたからできたことなのに。

つださんごめんなさい。
今でも大好きです。
こんなことを言うと、かえって苦しめてしまうかも知れないけど、つださんは私にとって最愛の人で最高の理解者だと思います。

必ず会いに行きます。
遅くても6月には行きます。