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キツネのお姫様

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 家来はそう言うと、猟師に小判を一枚放り投げ、襟巻きを奪っていきました。そして、お姫様の籠はそのまま行ってしまったのです。

「これはえらいことになった!」
 猟師は慌てました。しかし、今更どうすることも出来ません。
 猟師の足元では子ギツネが悲しそうに泣いていました。
「済まんなぁ、チビ。こうなったのも元はと言えば俺のせいだ。なぁ、お前の面倒は俺が見てやるよ」
 こうして子ギツネは猟師の家で暮らすことになりました。
 しかし、毎日悲しそうに泣く子ギツネの声は、猟師の心をキリキリと締め付けました。

 一方、お姫様の首に巻かれたままお城に連れて行かれた母親ギツネは、子ギツネのことが心配でたまりません。
 お姫様が襟巻きを外した時、衣装部屋でこっそりキツネの姿に戻り、窓から外を見ては山の方を眺めました。

 ある日、猟師はお寺の和尚さんに相談をしました。もちろんお城に連れて行かれた母親ギツネのことについてです。
「ふーむ。面倒なことになったのう」
 さすがに和尚さんも考え込みます。
「何とか助けてやれねぇか?」
 猟師は必死でした。
「助けてやれぬこともないが、危険じゃぞ。それに機会は一回じゃ。失敗すればお前さんは死罪じゃろう。それでもやるか?」
「はい。やりますとも!」
 猟師の目には力がこもっていました。
「よいか。来月の15日にお姫様はこの寺にお参りに来る。その時が母親ギツネを助け出す時じゃ。これから計画を教えるから耳を貸せ」
 和尚さんは猟師の耳元で何か囁きました。和尚さんの考えた「計画」とは一体どのようなものなのでしょう。

 そして、とうとうお姫様がお寺にお参りに来る日になりました。
 お姫様はいつものように大勢の家来を連れてお寺へとやって来ました。
「これは、これはお姫様」
 早速、和尚さんが出迎えます。
「苦しゅうない。苦しゅうない」
 と、お姫様は上機嫌。その首にはあの母親ギツネの襟巻きが巻かれています。
「立派な襟巻きですのぉ」
 と、和尚さんが言うと、
「ほほほ。これはわらわのお気に入りじゃ。何とも生きたような、この肌触り。そう簡単に手に入るものではないわ」
 などと言っています。お姫様は母親ギツネの襟巻きが相当気に入っている様子です。
 お姫様と家来たちは和尚さんの読み上げるお経に手を合わせました。
作品名:キツネのお姫様 作家名:栗原 峰幸