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久しぶり

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お墓の前で

「久しぶりだなあ、元気かい」
「元気かいと言われてもねえ」
「まいいや、オレは何とか元気にやってるよ」
「そのようね、そしてやっぱり独りのようだし、再婚してもいいっていったでしょ」
「ああ、その~、相手がぁ」
「やっぱりね、あなた私と結婚してなかったら、一生独身だったんじゃない?」
「なんだよ、オレだってその気になれば……」
「なかなかその気にならないじゃない」
「お、お前はどうなんだい、あ、だいぶ前に好きな人が出来たのとか言ってたなあ」
「え、そんなこと言った覚えが無いよ」
「夢に出てきた時言ってたじゃないか」
「そうだったかしら、で、どんな気分だった?」
「すごくいやな感じだった。嫉妬かなあ」
「ふふ、嬉しい。わたし、そんな気分にならないでよかったわ」
「ま、オレが誠実だったからな」
「ははは、あなた、もてそうになかったからよ」
「ふん! それよりさぁ。ここと仏壇との関係はどうなってるんだぁ」
「その、ああ、何ていうか交通機関というか」
「ははは、交通機関ねえ、バスよ。一時間2本しかなくて困ってるよ」
「ええっホント?」
「バカね、ウソに決まってるでしょ。ははは相変わらずね」
「おい、怒るよ」
「ごめんごめん、実のところ私もよく分からないの」
「分からない筈無いだろう」
「私、バカだからねえ」
「そうかバカは死んでも直らないか」
「あんた! ケンカ売りにきたの?」
「買うかい?」
「私お金ないよ」
「オレもお金ない」
「ふ~~~」
「ふ~~~」


おしまい
作品名:久しぶり 作家名:伊達梁川