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母から私 私から娘へと ~悲しみの連鎖~

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 病院を無事退院した私は、電車で地元に戻るとその足で菜緒を迎えに行った。
田丸家の玄関前に立ち、やっとだぁ……と思いながらチャイムを鳴らす。中から応答がありドアが開いた。ドアの向こうには菜緒が立っていた。二ヶ月ぶりに見る菜緒の姿だった。
 しかしそこに立っている菜緒は、すっかり田丸家の人のように見えた。少しばかり怖じ気付く心を奮い立たせ、私はおもむろにそばに寄り、菜緒を抱き上げた。
菜緒は、以前と変わらない態度で呼応してくれて、思わずほっと吐息が零れた。
 間もなく玄関に現れた田丸さんに、そのまま応接間に招じ入れられ、お茶をよばれながら入院中の話をしたり、その間の菜緒の様子を聞き、最後にお世話になったお礼を言って田丸家を辞した。

 また菜緒との生活が戻ってきた。
 私が入院中、菜緒が通う保育所は田丸さんの都合の良いように、田丸さんのお宅の近くの保育所にしてあったので、自宅からは少し遠くて不便だけど、しばらくはそのまま通わせることにした。
 退院してしばらくして落ち着くと、私は徹さんのことを考えてみた。
 ――彼はいい人だし、菜緒を可愛いがってくれている。菜緒も拘りなくなついている。――どうしようか……でも……まだよくは分からない。散々迷った末、私は父に相談した。