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母から私 私から娘へと ~悲しみの連鎖~

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 結婚したばかりの頃の私は、自分には少し不向きな気もしたが、彼の仕事の時間に合わせて夜の仕事をした。しかし妊娠して、私は夜の仕事を辞め、彼は昼の仕事に転職してくれた。すべては生まれてくる子供のためだった。それなのに彼の仕事は安定せず、次第に借金が増えていった。臨月になった時点でも出産費用を用意できず、初めてのお産で不安がいっぱいの私は、とてもブルーな状態だった。誰にも相談できず、突然生まれそうになったらどうしたらいいんだろう……と、不安ばかりがどんどん膨れてゆき、思い余った私は、すぐ近くを走る国道二号線まで歩いて行った。大きなお腹を抱えて……。
 トラックに飛び込んで死のうと思っていた。そばまで行って、それでも少し躊躇っていると、お腹の子供の声が聞こえた。
「お母さん、死なないで!」と。
 お腹の子供は生きたがってるんだ――そう思うと可哀想になり、来た道をとぼとぼと歩いて帰った。
 実はその後も一度だけ、この子に命を捨てるのを止められたことがある。この子がいなかったら私は、今生きてなかったのかも知れない……。
 ともあれ自宅に帰った私に、父からの連絡が入った。虫の知らせか……?
「お産の準備はできているのか? お金はあるのか?」
 そう聞いてくれた。
 私は泣きながら現状を話し、お金は父から借りることになった。情けなさと切なさで、胸がいっぱいになった。以前、高校生の頃、自動車学校で母の妹と会って母の生い立ちを聞いた時に、
『自分も母に捨てられ、その母もまた実の母に捨てられた。もし私が結婚したなら私も娘を捨てることになるかもしれない。いや、きっとそうなる。だから結婚は絶対にしないでいよう』
 そう決めていたのに……。その時の自分の決め事を破って結婚したから、今その報いを受けているんだろうか? そんな風にも思えた。