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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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ツイン’ズ

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03_夢は世界征服


 昨日、私は玉藻妖狐のお陰で自分が今何をすべきなのかを悟ってしまった。いや、むしろ無理やり悟らされたのか……まぁそんなことはどうでもいい。
 とにかくあの事件から一夜が明け、私はある国のある都道府県のある市町村のある廃屋にいた。……いや、ウソを付いた。ここは、学校(直樹♂[ナオキ オス]の通う学校)から程近い、妖孤先生のちょっとした豪邸だったりする。
 この家は外観から室内までゴシック洋館な感じの家だ。妖孤先生は私が来るまで一人で住んでいたらしい。もちろんタロウくん1号2号はその数に含まれていない。
 オートクチュールらしい豪華な椅子に座りながら、ティータイムを取る私。……優雅だ。
 そして、私は優雅に下部たちに命令する。
「タロウくん1号2号、早く部屋を綺麗にしてくれたまえ」
 私がこう命じるとタロウくん1号2号は家中を忙しなくテキパキと動いてお掃除をしてくれた。タロウくん1号2号は今や私の忠実なる下部だ。うん、実にいい働きぶりだ……発明者とは大違いだな。
 などと、そんなことを思っていたらちょうどその発明者が二階から降りてきた。
「ナオキちゃ〜ん、おはよ〜」
 下着の上から白いブラウスを直に着ていて、胸元がかなり全開! と言った感じでセクシィーな光線が私の目を眩ませる。男がこの場にいたら即ノックアウトと言った感じだな。むしろ、それが狙いか!!
 美しい女性にはやさしい言葉で持て成すのが貴族としての私の勤めだ。訂正、貴族を目指したいなぁ〜と思っている私の使命だ!!
「おはよう妖狐先生、昨日はよく眠れたかい?」
「まだ、ちょっと頭がくらくらするわ」
 頭がくらくらするというのはたぶん魔法の副作用のためだろう。ちなみに魔法というものの詳細はまだ秘密にしておく。だって秘密って言葉の響きがいいでしょ。ひ・み・つ。……うっとりだ。
 さてと、悦に浸っているわけにはいかない。妖孤先生も起きたことだ、そろそろ始めるか。
「それでは朝のミーティングを始めよう。タロウ君1号2号、掃除はあとでいいからこっちに来い」
 ミーティング突然始めたのには理由がある。思いついたときにすぐ実行しないとすぐ忘れるからだ。
「ナオキちゃ〜ん、わたし寝起きなんだけどぉ」
「気にするな」
 この言葉の返し方は意味不明だ。そう自分でも思う、しかし、使いなれているので気にするな。
 私は意味不明な箇所を残しながらも言葉を続けた。
「え〜それでは、朝のミーティングを始めま〜す。それではまず、私たちの今後の活動内容の発表をしたいと思います」
 ちょっとわざとらしく言ってみた。理由は何となく。ちなみに私的にはここでドラムロ−ルがなってるつもり、そして、ドラムロールが鳴り止むと同時に、
「じゃん、世界征服しちゃいます!」
「え〜!!」
 妖狐先生は大きく口を開け、ビックリ仰天した。無理もない、こんなこと突然言ったら誰でもビックリだね。しかも、タロウくん1号2号も口をがぼーんと、外れてしまった。結構ウケるなこの絵は……くすっ。

 あの事件のあと俺は学校のどこかにあると噂される、学校非公認の『妖狐ちゃん研究室』から抜け出し、夜遅く家路に着いた。そんな帰路の途中、俺は脳みそをフル回転にして考え事をしてみた。
「……いったい何が起こったのかさっぱりだ」
 玉藻先生に拉致され、気づいたら俺’が玉藻先生にキスしてて……いい絵だったなぁ……ってなに考えてんだ俺! で結局何が起きたのかさっぱりなままだった。とまぁそんなことを考えてたら、家の玄関に立ってた。
「ただい……ま」
 ドアノブを回す手から全身へ一瞬にして固まり、俺の身体は石像と化した。
 こーゆーときは金○針だ……いや、乙女○キッス……てゆーか違う、身体が固まったことより、その原因の方が今は大事だろ。その原因は……鍵が! 鍵が掛かってるよ、おい!
 入れないじゃん……ふふふ、しかしだいじょぶだ。我が家は合鍵がちゃんと隠してある、だから鍵を忘れて家を出てもOKさ、見たいな……。というわけで俺は鍵の隠し場所へレッツゴー!!
 鍵はポスト中の隅っこにあるハズだった。がしかし!!
「な、ななな無い!」
 なんとびっくり鍵がない……なぜだ、なぜない……完璧な作戦だったハズ。ふっ……だいじょぶだ、こんなことでうろたえてはいけない、まだ、家に入る方法はある。――屋根に登る。
 そんなわけで塀やらパイプやらを伝って屋根によじ登った。この時の気持ちはさながらスパイ○ーマンといった感じだ。
 がしかし、またそこで俺に不幸が。……窓閉まってるよみたいな、この必殺技(屋根登り)は2階の窓が開いてないと効果はない。
 ……しまった、迂闊だった、俺は大バカ者だった、この技の弱点を突かれた。しかもだ、この技には失敗すると大変なことが待ち受けている、その大変なこととは――。降りるのは大変ってこと。登るのは楽でも降りるのは死を覚悟しなくてはいけない。
 だいじょぶだ、だいじょぶだ。……落ち着け、降りるのは大変だ、ようするに降りなきゃいいじゃん。
 俺は最後の手段の実行をした。
「とうっ!」
 俺は掛け声とともに宙を舞った。詳しく言うと屋根から屋根に飛び移った。どこの屋根に? 美咲の家。そんなわけで俺は美咲の部屋の窓まで行った。ちなみに2階の。
「お〜い、美咲いるか?」
 返事はない……ただの屍のようだ。――って違うか、むしろこのネタはどのくらいの人が知っているのか、いないのか? って美咲いないのか、いるのか、どうなんだ!! もう駄目だ。
「あっ……」
 窓に手をかけたら、開いた。奇跡だ。でもこんなところ通行人に見られたら110番されてしまう、早く中へ!
「おじゃましまーす」
 恐る恐る俺は無許可で美咲の家に入った。不法侵入ってやつだな。
「美咲は……いないのか」
 美咲の部屋に入るのはひさしぶりだ。といっても最後に入ったのは1週間前だけど。
 しかし、美咲どこ行ったんだ。まぁここにいれば、そのうちくるか――。
 5分後、階段を上る音が俺の耳に届いた。来る! や、やつが……やつが来る!
 ――ってたぶん美咲だけど。ちょっと緊迫感のある演出がしたかっただけだ。
「美咲か?」
 そして、すぐに部屋のドアが開いた。
「「あっ……」」
 二人の声が重なった。そして、二人の動きが止まった。
 俺が止まった理由は美咲の姿を見て、肌から立ち上る湯気身体に巻いたバスタオル――風呂上り。セクシィービーム! と思った瞬間本当に俺の腹にビームが、それもメガ粒子砲並みの……うぐっ。
「何してんのよ!!」
 メガ粒子砲――美咲の回し蹴りが俺の腹に喰い込んだ。……痛い。ビームじゃなくて蹴りだった。
「何で直樹がいるの!! ……そんなことより部屋出てって!!」
 美咲は俺の背中を蹴り飛ばし、部屋から追い出しドアをバタンと閉められた。そしてちょっと経ってドアが開いた。
「入っていいよ」
 俺は美咲に勧められるまま部屋に戻った。美咲はパジャマに着替えてた、その間の時間俺は部屋の外に出されてたわけだ。
「なんだよいきなり、蹴りはないだろ」
「恥ずかしかったの」
「昔はよくいっしょに風呂入ってただろ」
「いつの話よ」