小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

ツイン’ズ

INDEX|19ページ/30ページ|

次のページ前のページ
 

08_Go!Go!直樹マン


 この場所が何かの研究施設っぽいことはわかった。がしかし、ここでこいつら(白衣を着た人たち)は何を研究してるってんだ?
 鏡花さんは何も説明なしでさっさと歩いて行ってしまうので俺はそれに取り合えずついていった。そして廊下を抜け、金属でできた自動ドアを抜けたところで鏡花さんの足が止まった。どうやらここが目的地らしい。
 鏡花さんは手のひらを反しある人物に向け『こちらは』って感じのポーズを取った。メイド服とそのポーズがなんともいえない萌えだった。
「こちらは星川英幸[ホシカワヒデユキ]博士です」
 星川と呼ばれた青年は俺らに向かって頭を下げた。
 ……この男知ってる。知ってるも何もない、こいつうちの学校の生徒じゃんか!
「こんにちは星川英幸です。先輩たちのことは存じ上げていますけど、僕のことは知っていますか?」
「ああ、知ってる」
 この星川英幸って奴は星川コンツェルンの会長のひとり息子で、うちの学校の3大金持ちのひとりでもある。俺の一年後輩の1年生で、頭の良さなら学校で1、2を争うと思う。うわさでは科学マニアらしいが、でもなんでこんなところに?
「星川様にはこの研究所で秘密兵器の研究をしてもらっております」
「秘密兵器だって!?」
 まさかこの男が秘密兵器の開発に携っているなんて信じられん。だってただの高校生だぞ! ……いや、うちの学校は生徒も先生も普通じゃなかった。
 宙が鏡花さんの横に近づくと耳元に口を持っていき何かコソコソ話しを始めたようだった。そして、話が終わると宙は美咲の袖を掴んでどこかに行こうとした。
「二人ともどこ行くんだよ?」
「……裏工作……だから……後はよろしく」
 部屋を出て行く宙たちに続いて鏡花さんまでも部屋を出て行こうとした。
「鏡花さんもですか?」
「申し訳御座いません急用が出来ましたので。星川様、後の事よろしくお願い致します」
「わかりました」
 鏡花さんは頭を下げると部屋をさっさと出て行ってしまった。どこ行ったんだあいつら?
 この部屋に残された俺。いったい何が待ち受けているのか? いないのか? さっぱりわからん。
「あのさ、なんで俺はここに連れて来られたわけ?」
「ちょっとこっち来てもらえますか?」
 俺は言われるままに星川に付いて行くと、そこには手術台みたいな台があって、その上には鎧っていうかプロテクターっていうか、もっと的確に言うと変身スーツみたいなものが置かれていた。
「なんだかわかりますか、これ?」
「さあ?」
「パワードスーツです」
「パワードスーツ?」
 俺は莫迦みたいにオウム返しをしてしまった。
「このスーツを人間が着ることによって、普段の数十倍の運動能力を発揮することができるんです」
「それはすごいけど、だから?」
「これを直樹さんに着て貰って、悪と戦って欲しいんです」
「はぁっ!!」
 唐突過ぎるぞ!!
 ようするにこれは変身スーツで、これを着ると誰でも即席ヒーローになれるって代物なのか? これであなたも正義の味方って感じだな……って俺に着ろって言ってんだった。
「いきなり着ろと言われても」
「大丈夫です。着ても死にはしません、ただ極度の筋肉痛になるとは思いますが」
「そーゆーことじゃなくって」
 筋肉痛になるっていうのは問題だが、俺が言いたいのはそんなことじゃなくて。
「なんで俺が着なきゃいけないわけ?」
「これは直樹さんが着るために作ったものですから」
「だから何で俺が着なきゃいけないの?」
「直樹さんはこれから正義の味方として世界平和に貢献するんですよ!」
 まったくもって意味がわからん。昨日からずっとこんな調子だ。
「正義の味方なんて他の奴にやらせればいいじゃんか、なんでわざわざ俺が」
「そう言わずに着てみて下さい」
 そう言って星川はテキパキと無許可で俺の身体にパーツを取り付けていく。抵抗もできたがあえてしなかった。何故って、そりゃー、もうどうにでもなれって感じだったから。
 俺の身体に装着されたパーツは赤を基調としていて、変身ヒーローとしては申し分の無い目立つ格好だった。赤いブーツと赤いグローブ、スイッチやらなにやらがいっぱい付いてる変身ベルトっぽいベルトに目元まである赤いヘルメットみたいなの。
 近くにあった鑑で自分の格好を確認したが、なんじゃこれ!? 異様としか言いようが無い物体がそこには映っていた。
 中途半端に付けられた赤いパーツと学生服(うちの学校の冬服は白い学ラン)がミスマッチな雰囲気をかもし出し、見るものを笑いへと誘[イザナ]う。カッコ悪すぎだ。
「あの星川くん、もっとマシなデザインにはならなかったの?」
「デザインとは苦手でして……ぷっ」
 星川を俺を見て噴出しそうになって口を押えやがった。お前が作ったんだろーが!
「こんなの着てられるか、すぐに脱がせろ」
「残念ですが……ぷっ……それはできないんです」
 星川を俺を見ないで壁としゃべっている。
「ぷっはは……そのスーツはバッテリーが切れるまで脱げない仕組みに……ごほっ、ごほっ」
 星川のやつは笑いを無理に止めようとして咳き込みやがった。
「そのバッテリーはどのくらい持つんだ?」
「何もしなければ1週間、力を使えば結構すぐに切れると思いますけど……ぷっ」
 いい加減笑いすぎだぞ。俺だってこんな格好したくてしてるわけじゃなんだぞ。全部お前のせいだ。
「無理やり脱ぐ事は?」
「できません、どんな攻撃にも耐えられるように作りましたから……げほっ、げほっ」
「お前が作ったんだろ!」
「試作品ですから」
 ……フッ、試作品か、試作品ね……つまりなんだ、俺は実験台か!!
 はじまりはあの発光体にぶつかったときからだ。俺が二人になって、玉藻先生のモルモットにされて、俺’はおかしくなるわ、学校は無くなるわ、命を狙われて、拉致されて、最後はこのへっぽこ変身スーツ……。
「星川、これの使い方を教えろ!!」
「は、はい!!」
「ふふふっ、俺の平穏の生活を還してもらうぞ!!」
「あ、あの先輩、大丈夫ですか!?」
「そんなことはいいから使い方だ!!」
 俺は買った喧嘩は勝つまでやるタイプだ。いくら負けようがリベンジして最終的には俺が勝つ、そして最後に勝てない喧嘩は絶対しない。それが俺の生きる道だ!!
「せ、先輩聞いてますか?」
「何を?」
「このパワードスーツの使い方です」
 どうやら、俺はうっかりこのスーツの使い方を聞き逃していたらしい。すまん星川。
「すまん、聞いてなかった」
「ではもう一度最初から説明しますね。筋力や運動能力は何もしなくても上がっています、ベルトに付いたボタンは――」
 このあと星川の説明は10分くらいの間続き、このスーツには多種多様な機能が付いていることがわかった。一見何に使うのかわからない機能もあったが……?
「先輩、説明書もありますけど要りますか?」
「あ、どうも」
 さすがは星川、取り説を用意してくれるなんて気が利くねぇ〜。
 取り説をポケットにぶっ込んだ俺は高笑いしながら部屋を出て行こうとした。だがそれを止める星川。
「先輩待ってください!」
「ん?」
「名前はどうしますか?」
「はっ?」
 何のことを言っているのかさっぱりわからん。