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総会

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「それでは【ありゃりゃ会】第80回定期総会を開催させていただきます。今回はまあ議題が一つという特別総会ともいうべき性格のものですが、内容が内容だけに、この総会を第80回記念総会として行わせていただくことに決定いたしました」

会長は、ざっと会場内を眺め回してから、話を続けた。
「それでは、さっそく議題に入りますが、よろしいでしょうか」
「よろしいも何も、他にすることねえじゃないか」
〈心臓〉副会長がぼそっとつぶやくが、〈手〉〈足〉が、大きな拍手をしたので、その音にかき消された。

「さて私〈脳〉、長年にわたり会長をさせて頂いておりますが、まぁ他に候補者がございませんでしたので、続けることになりました。ここまでこの【ありゃりゃ会】が順調に発展継続してこられたのも、私が夜も寝ないで夢をみながら必死に活動に専念してきた結果だと自画自賛しております。そのために、私【頭部】直属の毛髪課には苦労をおかけしましたが、彼も私も悔いの残らない業績を残してきたつもりです」
〈脳〉会長は得意そうに、胸を張った。〈毛髪〉が気弱そうにそれでも嬉しそうに頷いた。それに対して副会長の〈心臓〉が挙手無しで、グチのような発言をした。
「それはこっちのセリフだ。こちとら昼も夜も働きずくめだ、夢を見ているヒマなんかありゃしない」
書記の〈手〉が、議事録に書くか書くまいか悩んだが、〈心臓〉のひとりごとという判断を下し、そのままにした。

「最近、私〈脳〉は、この会長の重責から解放させて頂くのも、いいかな? という思いもあり、まだまだやれるという思いもあります。しかし、自分も会長をやってみたいというお方もいるかと思います」
そこまで、言って〈脳〉会長はちらっと副会長の〈心臓〉を見た。

「まず、この会長職の業務確認でございますが、私〈脳〉と〈毛髪〉の【頭部】、〈目〉〈鼻〉〈口〉〈耳〉という、我が会の文字通り顔である【顔部】、〈手〉〈足〉の【運動部】、この会の重要な部であります【内蔵部上半身課】、【内蔵部下半身課】、これらの間の緊密敏速なホウレンソウ、いわゆる報告・連絡・相談を適切に処理し、指示を出すことが主な業務でございます」

「そんな当たり前のこと、皆知ってるよ!」と誰かがヤジを飛ばした。
「次行こう、次!」
前置きの長さにしびれをきらした者が出てきて、議題は騒々しく盛り上がってきた。

作品名:総会 作家名:伊達梁川