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「レイコの青春」 19~21

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「娘の死をむだにしたくない。」

 千葉県・松戸市の小学校教員、森岡広茂さん(51)夫妻は
そう思って始めた裁判を、もう20年間にわたって闘い続けています。


 長女の真理子ちゃんが亡くなったのは、
生後9か月になった、1974年2月のことです。
妻の綾子さんは教員で、当時は仕事を続けるために、
市役所で紹介をされた無認可保育所へ、真理子ちゃんを預けていました。


 真理子ちゃんは昼寝の際に、布団にうつぶせに寝かされ
見つかった時は顔を真下に向け、乳児用の布団に
顔を押しつけるようにしていました。
布団に敷いたバスタオルが、顔の周りで
くしゃくしゃになっていたそうです。
司法解剖では、鼻や口がふさがれた窒息死として、
鑑定がなされました。


 経営者は、業務上過失致死罪で略式起訴され、罰金刑を受けました。
経営者が、刑事責任を認めたことになります。
この保育所は、昼休みに保母が不在になるなど保育体制が
ずさんだったとして、森岡さん夫妻は、1977年,保育所に
補助を出していた市や経営者などを相手に
損害賠償を求める訴訟を起こしました。


 一審では、死因は窒息と認められ一部勝訴をします。
ところが、二審の東京高裁では
「死因はSIDS(乳幼児突然死症候群)」として、請求を退けたため、
一転、逆転敗訴になってしまいました。


 一審判決では体を解剖し、窒息と判断した
医師の鑑定がよりどころになったのに対して、二審では
「9か月の子供は、うつぶせでも窒息しないように、危険は回避できる」
などとした、別の専門家の鑑定が重視されました。
審理は今でも、最高裁で続いています。


 元気だった赤ちゃんの命を奪う、
SIDS(乳幼児突然死症候群)とは,一体、どんな病気でしょうか。
厚生省研究班の定義では、
「それまでの健康状態や、既往歴からは全く予想できず、死亡時の状況や、
解剖によっても原因が分からない場合を指す。
聖書にも、SIDSと思われれる乳児の突然死の記載があり、
古くからあったことがうかがわれる。」
と、まとめています。