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衝動SSまとめ②(鋼錬)

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ロイエド






2012/3/14更新

ヴァンパイアパロの続きになります。







――――――――――――――――――――





「で、どうなさるおつもりですか?」

「どうしたものか。」


ソファの上でスヤスヤと眠る姿は天使のようだ。
だが、果たして天使が棺桶に居るだろうか。






数時間前、ロイは錬金術で閉じられた棺桶を開けた。
すると中に入っていたのは美少年。
胸元まで伸びている金色の髪に金色の睫。
肌は透き通るほど真っ白。
軍医の診断で『生きてはいない』とされたが、その数分後には起き上がった。

その何者なのか分からない彼をどうするか、ロイとリザは頭を悩まされていた。
まずテロリストの元にあったということで、事情を聞かなくてはならない。
だが、彼は言語に難がある。まず言葉を教えねばならない。
もし、彼が覚えていない場合、テロリスト達はなぜこれを持っていたのか。
どこで手に入れたのか。何故置いていったのか。
今後、彼をどうするのか。
解決すべきことは山ほどあった。


「・・・おそらく、人間ではない。」


「では・・一体なんだと?」

「皆目見当がつかん。」

「様子を見るしか・・・」

「無いだろうな。」




ロイはこのまま執務室に置いていくわけにもいかないので、
ソファで眠る少年を抱き上げ、リザと共に司令室へと向かった。

ガチャリ―


「あー大佐、やっと戻ったんすか・・・って、隠し子とかやめて下さいよ!!???」

「・・・何ばかなことをぬかしている。」

「・・・で、どちらさん?」


「「・・・・・・。」」


「?」

「分からん。」

「・・・は?」

「分からないのよ。」

「・・・え?」

ハボックに二人はそれまでの事情を説明した。

「眠ってると、すっごい綺麗だってこと以外普通っすけどね。」

「まぁな。」

「でも、彼は確かに浮いていて、治癒能力は異常。スピードは私でも追えなかった。」

3人が同時にため息をつく。
これからどうしたら良いのかと。


すると司令室の扉が勢いよく開き、フュリーが飛び込んできた。

「大変ですっ!!!!!!セントラルにて同時多発テロ。
至急マスタング大佐に応援に来てほしいとの命令です。」

「・・・こんなときにっ・・」

「大佐。」

「あぁ。」

「すぐに用意を。」

「ハボック。」

「ハッ。」

「悪いが後を頼む。」

「ハッ。・・・て・・ぇ?・・えぇぇええ!!???」

「くれぐれも逃がすな。油断するなよ。じゃ、」


ロイは足早に司令室を去った。
残されたハボックと眠る少年。

ハボックは不安でいっぱいだった。
こんなにも大佐にひっついて行きたいと思ったのは初めてかもしれない。


その後、ロイはセントラルへと旅立った。



ハボックの終業時間になっても少年は目覚めなかった。
どちらにしろ、司令部に置いていくわけにも行かないので、自宅に連れ帰ることにした。

家に着き、ベッドに寝かせた。
ハボックは遅い夕飯を食べていた。
風呂に入り、ラジオでセントラルの状況を聞く。
眠くなったのでベッドへ向かった。


すると、少年が目を覚ましていた。

「おまえ・・・」

「・・ロイ?」

「あーえっと、俺はロイじゃない。」

「・・ダレ?」

「俺はジャン・ハボック。」

「ジャン・・ハボ?」

「うん、まぁそんな感じだ。」

キョロキョロと周りを気にしだしたので、ここが何処だか教えてやる。
そしてロイが今は近くに居ないことを告げる。
その間の面倒は俺が見ると。

「なぁお前名前は?」

「・・・・・。」

「無い・・のか?」

「・・エル、箔、エディー、アダム、エド、エドワード、真祖・・・・

「名前がいくつもあるのか?」

「yes」

「じゃあ勝手ながらお前はエドだ。
まっエドワードでもいいけどな。」

名前はと聞き、こんなにも出てくるということは一体どういうことなのか。
その中に含まれる聞きなれない言葉、それに『アダム』という単語がどうにもひっかかった。

ともかく、ロイに現状維持。と言われているので面倒を見なくてはならない。
危険だということもしっかり頭に入れておかないと。


これはテロリストの持ち込んだ爆弾の可能性があるのだから―――
















「これはどういうことだ。」




ロイがセントラルから帰還すると、驚きの光景が広がっていた。


「おいっエドお前それ俺んだろ!!!!!」

「あーっハボ!!!それは俺の!!」

「仕返しだバーカ。」

「ハボーーーーーー!!!!」

「まぁまぁ二人とも、」

「「フュリーは黙ってろ!!」」

「あはは、」


「なんて愛らしいのかしら。」

「癒されるわ。」

「「「キャーーーーーー///」」」


司令室の扉は開いていて、そこから野次馬が大勢覗いている。
司令部内の数少ない女性が全員居るのではというほど。

そして問題のその中では、あれほど危険だと注意をしろと。

人間なのかすら分からないのだからと言っておいたのに、
それはそれは楽しいそうに全員で、特にハボックが戯れている。
ロイの背後からカチャリ―という不気味な音がした。


ズガーーーーーン――


という音とともに天井からその一部が零れ落ちる。
そしてそれに気付いた面々が逃げ去る。
中に居た人間だけが逃げるわけにもいかず、顔から色を無くす。



「説明してもらいましょうか。」

「「Yes,Ma'am!!!!!!!」」




司令室にリザやハボックを残し、ロイはエドを自室に連れて行く。
二人でソファに腰掛けると、すぐにエドは口を開いた。

「ロイ、おかえり。」

「・・ただいま、随分言葉を覚えたようだね。」

「ハボから聞いた。」

「そうか、君の名前は?」

「エド。ハボがこれにするって。」

ハボックに聞かなくてはならないことは山ほどありそうだな・・・

「ロイっ!!!お腹空いた。」

「・・・あぁ、そうだな食堂にでも行くか?」

「人間の食べ物なんか要らない。」

「・・・それはどういうことか聞いてもいいかな。」

「俺、人間じゃないから。」

「では・・・・」

「俺はVampireだよ。」

「・・・・っ・・!!??」

この世に己の知らないことはいくらでもある。
何処かで誰かがヒトがヒトを作っているかもしれない。
その可能性は0じゃない。
だが、Vampire、吸血鬼なんていうものが存在するとは・・本気で考えたこともなかった。
今目の前に居るものは確かに人間ではない。



本物のVampireだというのだろうか――――



作品名:衝動SSまとめ②(鋼錬) 作家名:おこた