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タマ与太郎
タマ与太郎
novelistID. 38084
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クラインガルテンに陽は落ちて

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 そんなある日、いつものように区報を手に取り電車の中で眺めていると、ふとある記事に目が止まった。“クラインガルテン募集中”「クラインガルテン?そんな気取らずに貸し農園と書けばいいのに」僕はそう思いながらもその記事に興味を持った。もともと土いじりが好きで、家庭菜園も断続的ではあるが長いこと続けてきた。記事によるとこの4月から3区画に空きが出るので、利用者を募集するとのことだ。場所は我家から自転車で10分程度のところ。現在凍結中の道路工事現場の一部で、工事が復活するまでの期間を貸し農園として区民に開放しているものらしい。半年毎の更新で利用料も格安だ。僕はその日のうちに往復はがきで申し込んだ。
 1月最後の週が来た。僕はいろいろ考えた末、希望退職の道を選ぶことを決心していた。2月と3月は職探しに専念し、充電期間なしに4月からは新しい職場に赴く計画を立てていた。人事部に希望退職の用紙を提出し、僕は不思議と晴々した気持ちでその日の仕事を終えた。2月に入り、僕は職探しに専念し始めた。もちろん通常業務をこなしながらである。会社としても希望退職者の職探しには協力的にならざるを得ない。面接などがあれば、有給休暇の取得も推奨してくれた。
 バレンタインの2月14日、僕は会社の女の子から貰った義理チョコを持って帰宅した。家のポストを覗いてみると往復はがきの返信が配達されていた。クラインガルテンの当選通知だった。