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いつまでも一番星

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「あー!最悪だ!」これはパチンコで借金を作り、借金取りが毎日来るような生活に我慢が出来なくなった嫁に突きつけられた離婚届を目の前にした僕から唯一吐き出された言葉だ。

タバコを吸うように吸える毒薬があったら吸いたい気分だったが残念ながら口にしたのは普通のタバコだった。嫁や娘の出て行った家は広く感じた。

何気につけたテレビの中では同い年の野球選手が代打で登場した。

同じ時代に野球をしていた僕からすれば彼は同世代の一番星だった。今では単なるロートルだ。年間通しての出番は代打ぐらい。それもたまにしか出ない。そんな選手が出てくる場面なんてたかが知れている。

しかし今日は違った。二死満塁。一打出れば逆転サヨナラのチャンス。いつもなら期待しない打席も今日は何故か期待してしまった。

ツーストライク。僕と同じ状態だ。

だがテレビの中の彼に悲壮感は無かった。相手ピッチャーが投じた球に彼は反応した。「カキーン!」漫画みたいな音がした打球はグングン伸びてスタンドに。ホームランだ。

僕は叫んだ。

ヒーローインタビューに答える彼はあの頃と同じ一番星だった。あの頃より皺の増えた顔で彼はこう言った。「僕には、若い選手みたいな勢いはもう無いです。でも僕には培ってきた技術と今より進化できる可能性という未来が有るんです。若い選手よりは短いですが」そう言った彼は少しだけ笑った。

僕は携帯を手に取り電話をかけた。

輝かしい未来を信じながら…
作品名:いつまでも一番星 作家名:仁志見勇太