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冬野すいみ
冬野すいみ
novelistID. 21783
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水世界

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三日月






白 黒 白 黒

光と影が交錯する

三日月が落下してきて
私は欠けた月を見下ろした

触れたら壊れてしまいそうだから
決して触れることができない

鈍く光る三日月
暖かいようにも
冷たいようにも見えた

けれど、きっと三日月はそんな脆い存在じゃない

脆いのは私達人間

どこまでも欠けている

白に染まり 黒に染まり
色を失って何ものにもなれない

三日月を空へ還したいけれど
この手にはその術は無い

何もできない手のひら

空っぽで空虚だと思った

何もつかめないならそれで構わない
けれど、どうしようもない気持ち

夜は世界を飲み込んだ
三日月は帰れない空を嘆いた
けれど、夜空が嫌いだから 二度と帰るものかと思った
三日月は空になれない
羨んでいるのかもしれない

人間の私には分からない

三日月はわずかな光を残した闇の月

空虚な感傷

三日月は綺麗

白っぽくにじむ光の雫

それは命ですか

私は理由も分からず涙を流した















作品名:水世界 作家名:冬野すいみ