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野琴 海生奈
野琴 海生奈
novelistID. 233
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~双晶麗月~ 【その5】完

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≪もし一度だけ僕の心が泣いたとするなら……あなたの涙を初めて見た時≫
 そう囁いて強く、痛いほどに抱きしめる。
 私もそれに答えるかのように、強く抱きしめ返した。

「ミシェ、私……」
 そう言いかけた時だった。
 どこからともなく風が吹いてきて、私とミシェルの周りをぐるぐると回る。ミシェルの体からダークグリーンの光が柔らかく広がる。
 ミシェルは私の耳元に顔を近付け囁(ささや)いた。

≪そして僕がもう一度泣くとするなら……あなたが死んでしまった時です≫


 そして、力を入れていた私の腕から力が抜ける。
 そう、抱きしめていたミシェルは、一瞬にして消えてしまったのだ。柔らかい光と優しい風をここに残し……

「ミシェ………!」
 大声で叫んでも、その姿はどこにもない。

 ミシェルが消えたその寝室は、閉めてあったはずの窓が開いており、優しくふわりと入ってくる風が、カーテンを大きく揺らす。
 そしてそこから見えたのは、大きな白い満月。


「ミシェル………!」
 窓から私が叫んだ時だった。

【咲夜……あなたをずっと忘れない……】

 脳裏に響くその声は、恐らく今までで一番優しい声。


【ミシェル……!】

 開け放された窓からふわりと入ってくる風…… 


 気付けば私は、今までにないくらい大声で泣いていた。
 まるで、ミシェルに届けと言わんばかりに。