小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
野琴 海生奈
野琴 海生奈
novelistID. 233
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

~双晶麗月~ 【その5】完

INDEX|1ページ/24ページ|

次のページ
 

◆第13章 表と裏◆


「え…!ここ…なんで…?」
 私は暗い海底の岩場に意識が戻っていた。突然の状況の変化に私は戸惑いを隠せなかった。
 私の両腕には重い鎖がつけられている。そして回りは大きな岩が積まれ…

「雄吾!ミシェ!ラシャ!」 
 薄暗い岩の隙間から叫んでも、誰の姿も見えない。
 自分の両肩を見ても、痣一つ残されていない。

 あの後どうなった…?あの光はいったい……?

 その後も大声で何度も叫んだが、誰からも返事が返ってこなかった。
 私は必死に何度も叫んだ。思い当たる人の名前を叫び続けた。だが、何も変わらなかった。私はそれでも叫び続けた。

 そして私はついに疲れ果て、声が枯れた頃、急にあのミシェルにもらった白いハンカチを思い出した。
「そういえば……この海底にいても、このハンカチ、あるんだな……」
 いつもと同じようにポケットに入っていたそのハンカチを、そっと取り出した。
 海底で広げるとそれは、ゆらゆらと広がり、自ら泳いでいるようだった。
「これの使い道……あるって言ってたよなぁ……あの時聞いとけばよかったな……」
 しばらくそのゆらゆらと揺れる白いハンカチを見つめていた。

「あれ……?」
 気付くとそこには以前ミシェルに渡された時にあった紋様、そう、私の腕にあった痣と同じ紋様ではなく、別の紋様が浮き出ていた。

「これ……何かに見えるな……なんだろ……」
 そのハンカチを手に取り、紋様の部分を指で触れた。
「ロープ?違うな……なんかこれ、翼?翼のついた蛇……?……あぁっ!」 
 私は一番重要なことをやっと思い出していた。

【ニズ……!】
 脳内でそう叫んだ私の声は、海底全てに響き渡るようにエコーしていた。