小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
野琴 海生奈
野琴 海生奈
novelistID. 233
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

~双晶麗月~ 【その4】

INDEX|1ページ/22ページ|

次のページ
 

◆第10章 届かぬ想い◆


「あン時……なんで泣いてたんだよ」
 ようやく雄吾の言葉を聞き取れた。私の方を向いて話している。
 私たちは隣同士でソファーに座り、しかもいきなり聞こえた言葉がこんな質問で、私は戸惑ってしまった。

 私の口は勝手に答える。
「心配かけてごめんなさい……雄吾の前だったから……」
「咲夜、今日はやけに素直じゃん?兄貴と仲直りしたのか?」
「え、えぇ……兄さんは、もうそろそろ帰ってくるかもしれないわ……」

《『兄さん』? いやいやいや……私そんな風にミシェルのこと呼んだことないんだけど!》

 私は、自分の口が勝手に答える内容にひどく驚いていた。
 そして、雄吾も不思議に思ったらしく、私の顔をマジマジと見た。

「おいおい大丈夫か?やけにしおらしくなったもんだなぁ〜。熱でもあんじゃねぇか?」

 雄吾は私の額に手を当てる。だが、その手からさりげなく逃げるだけの私。
 いつもの私なら引っぱたくんだけど…まさかこれ、夢とかってオチじゃないよなぁ……


「大丈夫よ。確かに先週海見ながらずっと雨に当たってたけど、一週間経てば風邪ひいてたとしても、治ってるでしょう?」

 一週間!あれから一週間も経ってるのか?その間、私はどうしてたんだろう……
 それよりおかしいよな……どう考えてもおかしい……私……
 特に話し方が……

 勝手に動き勝手に話す自分に、どんどん違和感を感じ始めていた。
「そうじゃなくてさ…なんつーか…」
 雄吾は真剣な顔をしながら私の顔を覗き込む。そして… 

「な〜んでオマエ、そんな女らしくしゃべるんだよォ!」
 そう言って雄吾は嬉しそうに抱きついてきた。