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２

　翌朝、私は昨日の出来事がやっぱり夢じゃないと改めて感じていた。
　だって！　なんで今日も社長が私の家に、そして部屋に来てるのよっっっ！！！！

「お前は低血圧なのか？　それともただのぐーたらなのか？」

　今にも「汚い格好」と言い出しそうな社長の冷たい視線に、私は急いで身支度を開始した。いくら時間がない（社長が決めた準備時間だけどね！）とはいえ、化粧品会社の人間としてはしっかりメイクしたい所。だけどやっぱり時間がないのよーーー！！

　「今日まで特別だ。明日からは迎えは来ないから、早起きに慣れるようにすることだ」
　「―――って！　どうしてそんなとこに立ってるんですか！？　着替えるので出て行って下さい！」

　まるで当たり前のように私が着替えるのを部屋の中で待っている社長を追い出し、「あと２分」なんて言っている社長をドア越しに睨みつけ、瞬間早着替えとでも言うべき早さで着替えて化粧をした。

「よし、行くぞ」

　ゼイゼイと肩で息をしながら、社長の高級車に並んで乗り込む。
　本当にもうこんな心臓に悪い事は今日限りにして欲しいわ。明日からは３０分早く起きよう……。
　心の中でそう決めると、隣で相変わらず朝から急がしそうに電話やノート型端末を操作する社長の横顔をチラリと見、車内に準備されていたサンドイッチに手を伸ばす。―――美味しい。
　しばらく走った頃、社長が私の方を見て首を傾げた。

「どうだ、どの部署に行くか決めたか？」
「あっ、はい！　えっと、写真部に行きたいと思います」
「市来の所だな、分かった。新製品の顔となる重要な仕事だ、市来をしっかりサポートする為にはきちんと新製品に関する知識も入れておいてもらわないと困る。これから会社で新製品に関するミーティングが開発部で行なわれる予定だ、市来と一緒にお前も参加しろ」
「はい、分かりました」

　なんだか本格的になってきた私の珍入社試験に、緊張と同時に期待も膨れて来た。頑張るぞー！