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フォーゲットミーナット ブルー【最終話】

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【最終話】


恋人のために水辺に咲く青い花を採ろうとした青年がいた。だが。彼は転落し、川に流されてしまう。彼は流されながらも恋人に青い花を投げ「私を忘れないで」といって見えなくなってしまう。
青年の「忘れないで」の言葉が由来となった花、フォーゲットミー ナットブルー。日本名ではわすれなぐさ色。花言葉は真実の愛。
青年は自分のことを考えずに、川に流されていった。このエピソードを知ったとき、とても妙な気持ちになった。「助けて」と言わずに「私を忘れないで」と言うなんて。
でも、いまなら分かるような気がする。報われない恋をしてしまった私は、いろんなことを諦めてきたから。せめて、消える運命なら、私のことを忘れないでいてほしい。そしたら、この想いも救われる気がする。

「結衣………ありがとう」

カシャン、とフェンスがきしむ。私はゆっくりゆっくりと、フェンスをのぼっていく。
一番高いところまでやってきて、反対側へ回った。降りると、地上がちらちらと目につき、少しだけドキドキした。
私は青い花を投げる代わりに、携帯電話を投げた。結衣はきっと未送信のメールをみつけることだろう。メールには“ありがとう”と一言だけ書いてある。私の感謝の気持ち、少しだけでも汲み取ってくれたなら、幸せだ。
ゆっくり息を吐き出す。迷いはない。
私はフェンスから手を離した。そのまま倒れこむように、私は地上へ向かって飛んだ。
私は幸せだ。穏やかだ。
どこからか悲鳴が聞こえた。
そしてガンッ! と鈍い音とともに、私の体は地面にひどく強く叩きつけられた。

「っ………ぁっ………」

体はうごかない。
目の前がかすんでいく。

「恵里ーーーっ!!!」

あぁ、結衣の声。
私は微笑もうとした。
でも………。
目の前がかすんで、まっくろになって………。
まっくろに……なって…………。
なにもみえなくなった。



【END】