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Compr-ex

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◇To
◆Sub

何を書けばいいのか分からない。
ひょっとすると僕は、途方もない間違いをしていたのかもしれない。
だからこそこの胸の奥からこみ上げるこの感情を。
僕はこれを、幸福と呼びたいのだ。

あのとき、君に再会したあのとき、僕はあるものを探していた。
心を忘れた場所、蘇生の原因。
果たして、それはそこにあった。ここらで一番大きい図書館だ。
膨大な過去のデータの中の一つに、有り体に、僕の死に様が刻まれていた。

分かっただろう? 僕は君を騙していたんだ。
僕は死んでいる。

僕は君を知らなかった。
過去の記憶は、どうやら棺桶の中に忘れてきてしまったらしい。
僕が今までしてきたことは、ソレっぽく自分を嘘で固めて演じること。
それだけだ。
君を愛すなんて到底出来ちゃいなかったんだ。

でも君は違う。
僕を本当に想って、愛してくれた。
感情が生きていることを教えてくれた。
それさえ偽物なら僕は躊躇うことなく君の前から消えることが出来たろう。
未練を糧にメールを打つ必要もなかったはずだ。

もうすぐ僕は消える。2度目の死を迎える。
特に問題はないだろう。
忘れればいい。
僕は詐欺師だ。
憎まれて当然の、人間でない何かさ。
ただ、君が僕に、僕の器にくれたもの。
こうして生まれた歪な魂を、2つ目の棺桶に持ち帰ることを許してほしい。
ワガママと言われても構わない。
鬱陶しい、の方が君らしいかもしれないね。
そんな僕は君を忘れられそうにないのだ。

空が白けてきた。
時が痺れを切らせている。
どこに向かっているのかも分からない。
右足首は、今頃どこに転がっているのだろう?
崩壊が始まっている。
最後にひとつだけ。

ありがとう あいし

------------END------------

作品名:Compr-ex 作家名:MIMI