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アノンの父親捏造まとめ

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居候編3


※年越しの話です。R15。



『さぁ、20XX年まであと30秒を切りました!』
 テレビから年越しのカウントダウンをする声が聞こえる。マーガレットはこたつに入ったまま、居候の男を振り返った。
「もうすぐだよ、ヴィノ……、え?」
 その顔の近さに驚いて開いた唇に、ひんやりとしたものが触れた。

 彼からのキスはいつも冷たい。柔らかい唇も、渇いた舌も。
 まるで熱と水分を欲するように、彼はキスをする。

「……んっ…ふ…」
 唇同士に隙間ができ、息をしようと足掻くたびに声が漏れる。水音が響く。それを恥じてか、マーガレットの体温はまた上がった。
『あと20秒! 19,18,…』
 彼とこれほどのキスをするのはもうずいぶん慣れたはずなのに、未だに上がる息、漏れる声、火照る顔を、どうにもできなかった。
 ヴィノンもまた、未だにそれを愉しんでいるのは明白だった。
 いや、彼は愉しむというより―――欲しているのだ、“ひとの感触”を。
『3,2,1…、Happy New Year!!』
 派手な音が鳴って丁度新年を迎えたとき、ヴィノンはようやく唇を放した。唾液がほんの少し糸を引く。それが途切れて消えるのを、ヴィノンは空ろな目で追っていた。
 マーガレットは、急にどうしたんだと訊きかけてやめた。
「ヴィノン…」
 それでも何か言いたくなって、マーガレットは彼の名を呼んだ。ヴィノンはその火のように赤い目を数回瞬かせて、こちらに向ける。僅かに微笑んだ。
 テレビは相変わらず五月蝿いが、このくらいが今この瞬間は丁度良いのかも知れない。マーガレットにも、…彼にも。
「あけましておめでとう」
「…有難う、御座います」
 顔を火照らせたまま笑うマーガレットに、ヴィノンはひどく驚いたようだった。
「…ねぇ、マーガレット」
「何だ…ひゃぁっ!?」
 次いでにっこりと嘘臭い笑いを浮かべた彼は、指でマーガレットの背すじを下から上へすーっとなぞった。
「うんうん。今年もその反応、よろしくね」
 耳元で、甘く囁いた。