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アノンの父親捏造まとめ

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居候編2


※居候編1より数ヵ月後、クリスマスの話です。R15。



 息子は高校生になって、人間の友達がかなり増えたようだ。今夜はクリスマスイブだから、友達の家でパーティーをしてそのまま泊まるらしい。父親としては心配でならないが、アノンと一緒にしておくよりはましだろう。…夜になる頃には、アノンもどこかに消えていたが。
 まあとにかく、久しぶりにヴィノンと2人きりになってしまった。しかも彼はいつもより大人しかったので、余計に気味が悪かった。
「ヴィノン…?」
 さっきから黙ってアニメの特番を観ている男に、声をかけてみる。
「なに?マーガレット」
「いや…僕はもう寝るよ」
「そう。おやすみー」
 アノンがどこかへ行った頃からずっとこんな調子だ。
 自分の寝室で、ふと考える。
(静かだな……)
 いつもはロベルトとアノンが暴れて、ヴィノンは僕を襲ってきて、夜でもなかなか眠れないほど騒がしいのに。
(少し、寂しい)
 胸の内にこみ上げる気持ちの名を呼んでみて、僕は寝返りをうった。ベッドに入ってから小一時間は経っている。
 そのとき部屋の掛け時計の長針が動き、ピンとちょうど12時を差した。せっかく静かだから、寂しさなんて忘れて寝てしまおう。
 ベッドに潜り込んだ。藍錆色の布団はまだ少し冷たい。
「ヴィノン……」

 2時間スペシャルが終わってしまったので、私は居間を離れてマーガレットの部屋を覗いた。薄い藍色の布団がもぞりと動く。やはりまだ起きているらしい。
 彼が呟いたその名前が私のものだったので、思わず頬が緩む。
「呼んだ?」
 金の糸のように流れる髪の間から覗く耳に、息を吹きかけながら囁いた。マーガレットの身体がびくっと震えた。
「なっ…ばっ、ヴィノン!?」
 うん、その顔たまんない。
「…まさか、声に出てた?」
「うん、ばっちり」
 照れてる、照れてる。
「もしかして寂しかったのかなぁ、まぁちゃん?」
 再び耳元で囁いた。この呼び方をするとマーガレットはいつも、私に分からない何かを思い出したような口調で怒る。
「またロー……ヴィノン!その呼び方はするなって言ってるだろ」
 あぁ、怒った顔もたまらない。
「ねぇ、どうなの?私がいなくて、寂しかった?」
「……」
 マーガレットは可愛らしいことに、ごく微かに頷いた。
 私はベッドに乗りかかり、その華奢な肩を抱き寄せる。
「マーガレット…一緒に寝ようか」
「…どうしてそうなるんだ」
 手で私の身体を押しやろうとする、甘い抵抗。そんなのじゃ退いてあげないよ。
「考えてみて。今、この家には2人きりなんだよ?」
「ヴィノン、お前な…!」
 マーガレットの声が少し裏返った。
 今だ、と力づくで腕の中におさめたマーガレットの顔を間近で見る。うん、赤い赤い。
「なにを想像したのかな、マーガレット?」
 顔を背けても無駄だよ。だって私は、無理矢理こちらを向かせてキスするのが大好きなんだから。
「別に何も……んっ」
 触れた唇を通して、私にも熱が伝わった。
 唇を放した後、ヴィノンは力が抜けたマーガレットを軽く押した。マーガレットは仰向けに倒れそうになって、なんとか止まる。
「…ヴィノン…何する気だい」
「んー、さっきマーガレットが考えたようなことー」
 あくまで笑顔でそう返して、私はマーガレットの硬くなった身体をぐいと倒す。
「や、めろ…!」
 顔同士が息のかかる距離に近づく。マーガレットの体温が伝わるようだった。
「本当にカワイイね…」
 マーガレットの首筋に、そっと舌を這わせた。彼が身体を震わせながら、嫌だと呟く。そんな言葉を聞かされたら、余計に苛めたくなるの、知ってる?
「…ぃやだ……っ」
「本当に嫌なの?」
 その一瞬、確かに視線は絡み合った。しかしマーガレットはすぐに目を逸らしてしまう。
「ねぇマーガレット、」
 右手だけで相手の両腕を押さえ、もう一方の手の指でマーガレットの身体をなぞってゆく。
「本当に、嫌?」
 マーガレットが息をのむ。私の指が、彼の腰に触れた。
「や…っ」
 恐怖と焦りと心地よさとが奇妙に混合した、表情。たまらない。思わず笑いがこみ上げた。
「ヴィノン……?」
 また目が合った。いつの間にか潤んだ目が、わけがわからないという風に眇められている。

「…フフ、冗談だよ」
 2人の目が合うと、ヴィノンはマーガレットの手を解放してしまった。
「は…?おい…冗談って何だい」
 ベッドからひょいと降りるヴィノンを、マーガレットはとっさに引き留めるようにした。ヴィノンはそんな彼の髪を手で梳いて、
「私はねマーガレット、君にそんな顔をされたら、もう充分だって思ってしまうんだよ」
「……でも、一緒に眠るくらい…いいだろう?」
 マーガレットは頬を上気させたまま、ぎこちなく微笑んだ。
「マーガレット……」
 ヴィノンもにっこりと笑い、ベッドに引き返す。
「もちろん」