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てっしゅう
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「哀の川」 第三十三話

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由佳は純一の家に遊びに来ていた。旅行の相談をするためにだ。麻子も一緒に三人でパンフレットを見ながらあれこれ意見を出し合っていた。純一はみんなにはすまないと思っていたが、どうしても行きたいところがあった。それは山本環先生のお墓参りだ。

「ねえ、純一さん、ここのホテルなんか良くないですか?」由佳は札幌市内での宿泊先を考えていた。
「ああ、いいねえ・・・母さん、由佳、話したい事があるんだ」
「なに?旅行のことじゃないの?」麻子はメガネを外して純一を見た。最近少し近くのものが見づらくなっていた。
「うん、高校の部活の顧問だった山本先生のお墓参りに行ってきたいんだよ。日立市なんだけど・・・その後で、北海道に行く予定にしたいんだけど、ダメかな?」
「由佳さんも知っている人?」

由佳はそのことに触れたくなかったけど、亡くなった人への恨みは持ってはいなかった。

「ええ、私が新入のときの先生でした。すぐにお亡くなりになられて・・・純一さんとは親しかったから、私はいいですよ。そうしましょう」