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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「仮面の町」 第十五話

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久能肇は深谷隆一と向かい合っていた。
しばらくの沈黙が終わって、重い口を開いたのは深谷だった。

「社長・・・長年お勤めさせていただいて不満などありませんが、自首して孤独な時間を刑務所で過ごす事には耐えれそうにありません。
過分すぎる処遇を家族にしていただけるお話も本当に嬉しいのですが・・・お許し下さい。刑務所だけは勘弁して頂けませんか?」
「そうか・・・お前には耐えれそうにないのか。仕方ないなあ。他の手を考えよう。今日は帰ってもいいぞ。この話は絶対に誰にも言うなよ。家族にもだぞ、わかったな?」
「はい、承知いたしました」
「うむ。ご苦労だった・・・明日も頼むぞ」
「かしこまりました。では失礼します」

深谷が出て行って直ぐに何人かの男が部屋に通された。

「聞いていたか?内容は理解できるな?」
「はい、承知いたしました。打ち合わせのとおりに運びます」
「慎重にな、ミスは許されんぞ・・・心してかかれ」
「ご心配なく、プロでございますから」
「そうか、任せたぞ!これは少ないが取っておけ」
そう言うと久能は白い封筒に入った厚さ1センチほどの札束をテーブルに投げた。男はそれを丁寧に仕舞い込んで部屋から出て行った。