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私は殺される!同人作家・沙織

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温泉街・少年アイドル歌手のコンサート



 沙織と黒猫は、外国人しか働いていない旅館に到着した。女将さんだけが日本人である。60歳くらいの女性で英会話が上手である。
「ようこそ、いらしゃいました。家の旅館は純和風ですが、ここで働く人たちは、いろんな国の人たちがいます」
アフリカ系の肌が黒い男性が着物を着て働いている。その男性は丁寧にお辞儀した。白人女性もアジア系女性も着物を着て、沙織たちにサービスした。
「女性二人分で料金は3500円です」
沙織の時代では、女性優遇政策のため温泉旅館は男性の場合、1人1泊8000円であるが、女性の場合は2名で2泊でも3500円である。


 昔ながらの旅館の部屋に案内された沙織たちは、部屋でくつろいだ。あえてスマートフォンやタブレット端末を持ってこなかった。それらの端末があると、気もちが落ち着かない。52インチの壁掛けテレビがあるが、昔のようにリモコンでテレビを操作するのではなく、スマートフォンで操る。
「最近のテレビは、リモコンでなくスマートフォンのリモコン機能がないとテレビのスイッチが入らないの」
「この2,3日テレビを観なくてもいいじゃないの。ましてインターネットから離れて、社会の煩いごとから離れるのもいいじゃないの」
壁掛けテレビの電源ボタンを押しても何も映らない。沙織たちはラジオも持ってこなかった。

 服を全部脱ぎ、買ったばかりの男性用下着、トランクスとTシャツを着た。
「なんだか、男の子になった気分。男の子って、お尻の部分がスカスカしているのを履いているのね。少し解放的な気持ちになったわ」
同じように黒猫もトランクスとTシャツを着た。
「かなり昔の体操着を着ているみたい。とくにお尻に繊維の感触を感じる」
二人は静かな時間を過ごし、何冊かの「やおい系」小説を読んだ。

「失礼します」
たどたどしい日本語で、外国人女性の店員が部屋をノックした。
「少し待ってください」
沙織たちは、旅館の浴衣を急いで着た。
「気分はどうですか?何かありますか?」
「テレビはリモコンではなく、タブレット端末かスマートフォンでないとみられないですか?」
「最近のテレビはインターネットと連携しているので、昔のテレビのようにリモコンは必要はなくなりました。端末でテレビ放送を選択しなければなりません。テレビを観たいですか?」
「いいえ。大丈夫です。私たちは本をたくさん持ってきましたから。テレビを観ると気がおちつかないので」
「そうですか。では、何かご用がありましたら、ご要件を申しつけてください・・・。それから午後7時に、少年アイドルコンサートがあります。時間があれば、近くにあるコンサートホールに行ってください。女性は無料です」
「ありがとうございます」


 沙織たちは早めに夕食を食べて、温泉旅館の近くにあるコンサートホールに行った。13歳の中学生アイドル歌手のコンサートが行われる。女性アイドルもいるけど、ヒステリックなフェミニストから糾弾され、青梅市以遠などで地下活動している。若い男性たちは地下女性アイドルを追いかけている。で、かわいいらしい少年アイドルは、ヒステリックなフェミニストに糾弾されないから比較的に自由な芸能活動ができる。

 コンサートホールには、老若男女が入り乱れている。未来社会になっても、アイドルは容姿だけが良ければ歌が下手でも受け入れられる。

 太ももがでる半ズボンに紺色のジャケットに赤いリボンのネクタイで、13歳の少年がヘットセットをつけて歌う。歌は上手くない。ダンスもたいしたことはない。でも、観客は喜んでいる。
「かわいい」
「抱きしめたい!」
という歓声がある。

「かわいいわね。まるで昔の女子高生みたい」
13歳の少年は、肩まで伸びる長い髪をきれいに伸ばし、遠くからみると21世紀初頭の女子高生のように見える。
高い声で歌う。かわいらしい声が出ている。
ジャケットを脱ぐと、半袖のシャツになり、腕や腋は完全脱毛している。
半ズボンなのでスネ毛は全くない。

「いまの男子高校生も、半ズボンで学校に登校する時代だから」
「そうねえ。で、英語が理解できないと、どんなに偏差値が低い高校でも入学できないから。男子高校生はみんな真冬でも半ズボン登校だから」
「私、こんど生まれ変わったら、彼みたいなかわいい男の子のようになりたい。あの少年アイドルのような男の子とお付き合いして、裸で抱き合いたい」
沙織は、少年アイドルのコンサートで、歌を聴いて感動したのではなく、周囲の熱気と、かわいいらしい容姿に魅了された。

 半ズボンに腰に巻くエプロンをつけると、ミニスカートのように見え、目を細めるとミニスカート制服の女子高生のように見える。
 彼は肩幅が女性のように細い。痩せている。腕も太ももも細い。毎日、女性ホルモン剤を飲んでいるので、少年は、かわいい女の子のように見える。

 コンサートの最後には、握手会が行われる。小学生の男の子や女の子たちは憧れのまなざしでみる。70歳くらいの男性も、快く受け入れる。一人一人に握手する。サイン色紙が配られる。
 沙織は顔を赤くして握手する。
「ありがとうございます。これからも応援します」
「ありがとう。これからも僕のことをよろしく」
半ズボンを履いた少年アイドルは愛想良く握手した。

 沙織たちは旅館に戻り、女の子みたいな少年との恋愛ストーリーをボイスレコーダーに録音した。創作意欲を強く感じた。だが、そのような妄想がヒステリックなフェミニストの殺意を呼ぶことになる。