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ドラゴンの目

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昔々、ドラゴンと人は敵同士でした。
恐ろしいドラゴンの話は子供達を震え上がらせ、ドラゴンを討ち取ってきた者は英雄と讃えられた、そんな時代の物語。


小さな王国に、幼い王子様がおりました。
王子様は体が弱く、いつもベッドに横たわっています。広い寝室に広いベッド、大きな窓から見える空だけが、王子様にとっての「世界」でした。

ある日、王子様は重い病にかかり、王様が大勢の医者を集めたけれど、誰一人、王子様の病気を治すことが出来ませんでした。
その夜、高熱と息苦しさから目を覚ました王子様は、窓から、巨大なドラゴンの目が覗いていることに気づきます。
驚きのあまり、王子様は人を呼ぶことも出来ず、きっとドラゴンに食べられてしまうのだと、ベッドの中で震えていました。
ドラゴンは、窓から顔を差し込むと、長い舌で王子様の顔を優しく舐めます。すると、王子様は先ほどまでの苦しさがなくなり、そのまま眠りにつきました。
翌朝、王子様の熱はすっかり下がり、ベッドから出て歩けるほど、元気になっていました。
王様は大層喜び、神が王子をお守りくださったのだと言いました。
王子様は、きっとあのドラゴンが自分を助けてくれたのだと思いましたが、誰にもそのことを言わず、自分だけの秘密にしました。


大きくなった王子様は、体の丈夫な青年に成長しました。
けれど、王子様は剣術よりも読書を好み、狩りに出ても罠にかかった動物を逃がしてやったりしています。
国民達は、王子様は弱虫で頼りないと噂しあっていました。
それでも、王子様は相変わらず沢山の本を読み、いつかのドラゴンにまた会いたいと、願っていました。

作品名:ドラゴンの目 作家名:シャオ