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宇宙列車 私の夏休み

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到着30分前、頭の上にイスがある



 私たちの身体は低重力で浮いている。気持ち良いものではなく、乗り物酔のような気持ち悪さを感じる。
「かすかに進行方向に重力があるわ」
「もうじき静止軌道都市に到着」
「ここから、地球を土星の輪のように覆う、オービタルリングを造るのよ」
「でも、数世紀も先でしょう。でも、中東宗教ファシズム国家群と戦争したら、宇宙開発はいっかんのおしまいよ」
 世界共産主義を支持している多恵は強い口調で否定した。
「そんなことは永遠にないわ。彼らにはロケットを」
「相手を侮らないで」
「だって、警戒が厳重だし。武力では1万倍も強いのよ。私たちの方が」
「それはそうだけど。”信仰のチカラでヤマも動かせる”じゃないの。人間の力は想像を絶するわ。いつか、この宇宙エレベーターが破壊されてもおかしくない。油断しないで」
「だって、人類史上はじめて貧困を撲滅して」
「それも人間の力でしょう。アラーを信じている人には命を失うことを恐れていない。私たちが恐るのは、この宇宙を創った全知全能の神ではなく、狂信的な人たちなのよ。政府は恐れているの。だから、宇宙エレベーターの管理が徹底的に厳しかったじゃないの」
 その時、私は二人の議論を止めようとした。
「美沙。いまの冗談だね。本気で言っていないね」
 私はウインクして美沙に自分の意見を言うのを自粛するようにした。美沙は気がついて、苦笑いした。
「そう。冗談よ。だいたい・・・話がデカ過ぎ」
「ねえ、疲れたでしょう。あと30分で到着よ。列車も速度を徐々に落としていることだし」
「そうだね。ああ・・・、疲れた」
「まあ、ホテルに入れば部屋が広いし、でも、地球の重力の影響がほとんどないから、無重力なの」
「そうだね。無重力で私たちの身長が少し伸びたような気もする。身体のラインが、地上にいるときよりもきれいになったかも」
「そう。でも、磁気シールドされた部屋が用意されているから。そこなら宇宙放射線から私たちを守ってくれるから」
 私はモニターを見た。地球がとても小さく見える。
 

 


 小さな地球で思想や宗教の違いで憎しみ合うことが愚かに感じる。






      一応、ここで終わり。



 
作品名:宇宙列車 私の夏休み 作家名:ぽめ