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中川 京人
中川 京人
novelistID. 32501
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はは、負うた子に教えられて大根をもらう

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 ──あそうか、わかったわかった。この子はあれだ。天邪鬼さんなんだな。
 気持ちが素直に顔や態度に出ないのだろう。だいたいが、生まれた翌日に産院の看護師さんに顔を見られるなり「あらあ、なんでこんなに困っちゃってるのかな」と笑われたほどなのだ。眉毛のあたりが渋く曇っていたらしい。それは九年後のいまもあまり変わり映えがしないようだ。
 その天邪鬼ぶりにもまして、人見知りや引っ込み思案もあり、さらにはまともな挨拶すら困難にするはにかみが加わる。総じて人との交わりが苦手らしい息子の挙動を見るにつけ、遺伝とは、身体的な特徴だけでなく、性格にも及ぶものなのかと夫婦で嘆息する日々が続いたのだった。

 十一月のある土曜日、息子が外遊びの途中に、同じクラスの友達をわが家に連れてきた。それはいいのだが、このとききゃつらは小ぶりのダンボール箱を大事そうに携えていたのだ。玄関先で不審がる妻とは反対に自分にはピンと来た。
 ──こいつら、猫の子でも拾ってきやがったか。