二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

衝動SSまとめ(ヒロ清)

INDEX|5ページ/6ページ|

次のページ前のページ
 

ヒロ←清




2012/3/8更新

先生の片思い。






――――――――――――――――――――





島に来て、もう随分と経った。
島にも、エコな暮らしにも、ここの人達にも、慣れた。

自分でも順応力には自信がある。
最初からなんとかなるだろうとは思った。
そして思ったとおり、なんとかなっている。
だが、こればかりは予想外だった…。


いつの間にか恋をしていたのだ。

良い年して・・・

純粋に・・・


男相手に。


ヒロに――


はぁ・・なんてこった。


一応、『若い』、『イケメン』が売りなのだが、それはあくまで書道界の中においてだ。
一般的ならばそこそこ年もいって、そこそこな顔でしかない。
東京に居た頃はそれなりに女性から話しかけられもした。
連絡先を交換したりと、まぁそれ以上の関係にはなかなかならないが、連絡は貰っていた。
だが、あの事件をキッカケにそれらは一切無くなった。

所詮はその程度ということだ。

そんな男が、男に恋をした。
なんという高い壁だろう。

まぁ叶うとは思っていないが…
あまりの無謀な恋に笑えてくる。


俺はそんな思いを抱えながら、毎日を過ごしていた。
高ーい壁は毎日ちゃんぽんと共にやってくる。


「せんせーーーちゃんぽん。」


まだ気持ちに名付けられる前。
こうして来る度に俺は瀕死の状態で、随分と迷惑をかけた。

だが、今こうして『恋』と名付けられた気持ちを抱えてしまった状態では、
とてもじゃないが、無理だった。


「おう、・・・ヒロ。」

「最近先生、元気だな。」

「俺の自己管理をナメるな。」

「よく言う。」

あははっと暢気に笑っているが、俺の自己管理は本当に優秀だと関心する。
そうでなければ、お前はとっくに俺に押し倒されてるんだぞ・・・

「先生、なるは?」

「ん?あぁ今日は忙しいんだと言いに3、4回は来たぞ。」

「それは確かに忙しいな。」

「お前も食ってくだろ?お茶でいいよな?」

「お茶しかないくせに。」

「・・・よし、自分で淹れろ。」

「・・・・まぁ、かまわないっすけど。」



「あーーヒロのはそこだ。」

「りょーかーい。」


この家には湯のみだけは何個もある。
なる、美和、タマ、そしてヒロのだ。
全員がいつの間にか持参して置いていったのだ。

少し前、俺は意味も無くヒロの湯のみを手にしていた。
今思えば、恋する乙女モードというやつだったのだろう。
そうして、何をするでもなくただボーッと湯のみを眺めていた。


そんなとき、ヒロが来て俺は思わず湯のみを落とした。
・・・いや若干放り投げた。


案の定、湯のみは割れた。

それほどヒロは気にしていなかったのだが、
俺はいたたまれない気持ちでいっぱいになり新しく買った。
ヒロは俺が急遽買った新しい湯のみを気に入ってくれた。



『ありがとうっ』―――



『なんか美味い気がする』―――




思えば、あの時に気付いたんだ。
この気持ち。


「先生も淹れる?」

「あぁ、頼む。」

「・・よっと、」

「さーんきゅ。」


「「美味い。」」


ははっ・・ハモった――




「ねぇ、先生。
ちょっと相談聞いてくれる?」

「・・ん?なんだ?」



「俺さ・・好きな子出来た。」



「・・ぇ?」






俺の高い壁が崩れる音がした――



end


作品名:衝動SSまとめ(ヒロ清) 作家名:おこた