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おやまのポンポコリン
おやまのポンポコリン
novelistID. 129
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幽霊さんのお楽しみ

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    【 幽霊さんのお楽しみ 】
    
「オーイ、こっちにすっげえ可愛い子がいるぞ!」
 暗い空間に浮かぶ、無数の鏡の一つを覗きこんで、
 悪友の井原が俺を呼んだ。
 
「しかも今、入浴の真っ最中だー」
 その声に魅かれ、俺もまた井原に続き鏡をくぐる。

 楽しみの少ない俺達幽霊にとって、覗きは格好の娯楽だった。

 鏡を出ると、そこは浴室。
 なるほど井原の言う通り、A○B48のメンバーにも引けを取らないキュートな女子高生だった。
 
 脱衣場には綺麗にたたまれた、名門女子校の制服がある。
 生前であれば、まるで縁のない少女だったろう。
 
 それが今、俺の前で恥ずかしげもなく裸体をさらし、髪を洗っている。
 
「ウオー、幽霊になってよかったぜい!」
 俺の気持ちを代弁するかのように井原が叫んだ。
 
 ただ、問題は彼女を覗く見物客の多さだった。
 
 裕福な家の娘と見えて、バスルームは三畳程ある広さだったが、それでも六人もの幽霊がいては、ろくに彼女の裸体を拝むことなどできなかった。
 
 「オイ、後から来たやつ、ちっとは遠慮しやがれ!」
 「なにを、彼女は俺も前から目をつけていたんだ」
 
 先客の幽霊の怒声に、井原も切れた。
 
 「井原、やめろって」
 俺が止めるのも聞かず井原は先客の幽霊と取っ組み合いを始めた。
 
 だが、どんなに暴れようと、怒鳴り声を上げようと髪を洗う少女には聞こえない。
はずだった・・・。が、
 
「うるさいわね! 人の家で騒がないで!」
 
 驚いたことに少女が、俺達の方を見据えて怒鳴ったのだ。
 幽霊全員がいっせいに固まった。
 
「最後だから楽しませてやろうと思ったのに、バカばっかりね!」
 少女が風呂桶の中から呼び笛を取りだした。
 
「ヤバイ、逃げろ!」
 先客の幽霊が慌てて鏡の中に飛び込もうとしたが、時すでに遅かった。
 
 いつのまにか俺達はバスルームの壁から湧き出てきた四人の死神に取り囲まれていた。
 
「体が動かねえよー」
 井原が泣き声を上げたが、動けないのは俺達全員だった。
 
「あたりまえよ。結界を張ったんだもの」
 制服を着込んだ少女が笑いながら、井原の顔に伝票を貼った。
 
 それは宅配便の伝票の様なもので、乱雑な字で「じごく行き」と書かれてあった。
 どうやら彼女は死神の眷属(けんぞく)のようだった。
 
 連行される中、ふと振り返って彼女の家の屋根を見ると、そこには……。
 
 
 【 悪霊(♂)捕縛・集配センター 】という看板が立っていた。
 
 
    ――― おしまい ―――