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フォーゲットミーナット ブルー【第4話】

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【第4話】


私はいつも一人ぼっちだった。
両親にも見放されているような気がして、幼い頃から人の顔色をうかがってビクビクしてばかりいた。
そんな私は、人との関わり方がへたくそで、ずっと同級生からいじめられていた。
いじめが止んだのは高校に入学してから。
初めて友達と呼べる人とも出会えた。一番仲が良かったのは、美沙。彼女も小学校の頃からいじめを受けていた。
美沙は高校の頃から自分の体を傷つけていた。傷が両親やクラスメートに見つかるのが怖いと言って、手首周辺ではなく、二の腕や太ももに傷をつけていた。
いま思えば、美沙と私は、ただ傷を舐め合っていたのかもしれない。似た者同士で、寄り添っていたのかもしれない。
その証拠に、高校を卒業してから、彼女とは電話かメールでしか交流がない。
絆なんてこの世にあるんだろうか? 親友って、友達って、なにを基準にそう呼ぶのだろう。
結衣と出会うまで、私は人とのつながりを疑問視していた。都合のいいときだけひっつきあって、用事が済めばサヨウナラ。馬鹿馬鹿しい。だから私は自分の感情を殺し続けていた。いじめられるのだけは勘弁だから、つかず離れずの関係を築いていった。
そんな私が、誰かを求めるなんて、ありえないと思っていた。まさか同性へ恋愛感情を抱くなんて。神様は酷い。

「………もう5時か」

結局、頓服の効き目はあまりなく、朝までぼんやりしてしまった。
頭が重い。動くのもめんどくさい。
私は携帯電話を手に取った。そして結衣宛てのメールを打った。

“ごめんなさい。私はもう限界です。さよなら”

ディスプレイをぼんやり見つめる。自然と涙があふれ出した。
「………送信」
無理。私は自虐的に笑って、メールを消去した。
何度こんな内容のメールを結衣に送ろうとしたことか。でもそんなことができるはずはない。私は結衣と暮らせるだけで、十分幸せだ。
ぼんやりと過去の記憶をたどってみる。私がいつからこんなに結衣を好きになったのか。いつからこんなに苦しい気持ちを覚えるようになったのか。
ゆっくりと目をつぶってみる。
私は記憶の海のなかへ、身をゆだねた。


【つづく】