小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

太嫌兎村

INDEX|2ページ/38ページ|

次のページ前のページ
 

 世の中って、ホント不思議なことがあるものなのですね。
 それも…この日本で。

 これから紹介する物語は、コメディー。
 いや、ひょっとしたら大人向けの童話なのかも知れません。

 皆さま御多忙のことと思いますが、少し時間のある方はここらでちょっと御一服。
 このお気楽話しで、傷んだ心を癒やして頂ければ感謝感激雨霰(あめあられ)です。

 高見沢一郎は、とある町のオフィスに勤めるサラリーマン。
 今、仕事を終えて、薄暮(はくぼ)の街へと飛び出した。
 そこはもうネオンが灯り始めていた。
 夜の賑わいを待つダウンタウン。
 高見沢は疲れ切っているのか、ぷらぷらと歩いている。
 そして、ほぼ無意識状態でビルの谷間の向こうに視線をやれば、都会風の白っぽい月がぽっかりと浮かんでいる。
「なんだよ、あの月は…現代文明で干からびて、マッチロケだよなあ、…色気も何もない」
 高見沢はそんなことをボソボソと口にする。

 そしてその反動なのか唐突に、あの時の出来事を…。
 つまり、あの不思議な光景が瞼の裏にくっきりと浮かんでくるのだった。
「あれは一体、何だったんだろうなあ。だけど、あの赤い月夜の可愛いバニーたち、彼女たちにもう一度会ってみたいよ、勇気を出して行ってみようかなあ」
 高見沢はぶつぶつと、こんな独り言を呟いた。


作品名:太嫌兎村 作家名:鮎風 遊