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てっしゅう
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「初体験・小枝子編」 第三話

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小枝子編 第三話

家に帰った雄介は母親に佳恵から電話があったから掛けてあげてと言われた。着替えてから電話をかけた。
「もしもし、井上ですが・・・佳恵か?なんだった?」
「雄介、ゴメンなさいね。今度の日曜日だけど都合が悪くなっちゃったのよ。それで電話したの」
「用事が出来たのかい?」
「そうなの・・・母の親戚に不幸があって、私も知っている人だから一緒に来なさいって・・・言われているの」
「仕方ないね。またにしよう・・・休みに入ってからゆっくりと逢おう」
「それでいいの?」
「ああ、構わないよ。じゃあ・・・遅いから切るよ」
「うん、おやすみ・・・好きよ雄介」
「俺もだ・・・佳恵、おやすみ」

そうか・・・しばらく逢えないのか、雄介はそう思った。

小枝子から誘いの連絡があったのは三日後のバイト帰りだった。いつものように店に立ち寄ると閉店の準備をしながら声を掛けられた。

「雄介さん、今度の水曜日は空いてるの?」
「え~と・・・授業は午前中だけなので午後からなら大丈夫ですよ」
「そう・・・じゃあ、逢ってくれる?」
「はい。どこで待ち合わせしますか?」
「そうね・・・バイトは何時から?」
「休みますから気にしないで下さい」
「悪いわ、そんな」
「春休みに入ったら朝から入る予定にしていますので今はいいんです」
「そう・・・じゃあ、梅田にしましょう」
「車で行ってもいいですよ。学校帰りに171号で行けば1時間ほどで着けますから自宅で待っていて下さい」
「ほんと?乗せてくれるの」
「運転も慣れましたから大丈夫ですよ」
「ドライブが出来るのね・・・嬉しいわ。何時に来れそう?」
「そうですね、1時半ぐらいかな」
「慌てなくてもいいのよ。安全運転で来て頂戴。待ってるわ」
「はい・・・じゃあ1時半に行きます」

水曜日の朝雄介は母親に「帰りに友達の家に寄りたいから車で学校に行く」と伝えて出かけた。途中のガソリンスタンドで満タンにして、学校からの帰り小枝子の家に立ち寄った。

「井上です。こんにちわ」
「待ってたわ。お母さん、行ってきますから・・・」
母親の典子は随分年下の雄介と出かけてゆく娘を心なしか心配になっていた。離婚してつい最近あんな事件があって、元気にしているのも雄介のお陰だと感謝はしているが、迷惑をかけてはいないのかと気になっているのだ。

「雄介さん、よろしくお願いします」それだけ言って見送った。

「お母さん、心配しているように見えたけど、いいの?」
「そう・・・よく気がつくのね雄介さんって」
「あんなことがあった後だからね。俺のことも男だから心配なんだよ」
「ううん、それはないの。雄介さんのこと感謝しているっていつも言ってるから・・・母にしてみればあなたが来てくれたお陰で元気になれたって思っているからね。私ももちろんだけど、心配なんてしてないの」
「安全な男って言うことですか」
「そんなふうにとらないでよ。10歳も違うのよ・・・おばさん相手にあなたの方が可愛そうって母も思っているわよ」
「もう辞めましょう・・・それよりおれまだ高速走ったことが無いから、乗ってもいいですか?」
「いいけど名神よね。どこに行くのかしら?」
「琵琶湖の方に行きましょう」
「琵琶湖か・・・久しぶりだわ。連れて行って」
「じゃあ、シートベルト締めて下さい」
「解ったわ。安全運転で走ってね」
「はい」

吹田インターから車は名神に入り栗東(りっとう)インターで降りて琵琶湖の東側から周遊道路をドライブした。湖が見渡せるレストランがあったので休憩することにした。

「眺めがいいですね・・・もう少し先だと桜が見れますね」
「そうね、雄介さんと花見もしてみたいわ」
「花見か・・・子供の頃親と一緒に行った記憶がありますが、それからは無いですね」
「私もよ。主人だった人と付き合い始めた頃は行ったことが一度あったけど・・・」
「思い出すんですか?」
「それは無いわ。あんなことをした人なのよ・・・想い出も全部消えちゃったの、私の心の中からはね」
「そんな簡単に消せるものですかね・・・男は無理ですよ」
「雄介さん・・・想い出の人がいるの?」
「高校一年の夏に佳恵と知り合って、あっ、彼女の名前です。同級生なんです」
「そう、佳恵さん・・・ね。可愛い人なの?」
「まあ、普通です。それで、翌年友達と4人でキャンプに行って。それから不思議なもので今まで言い寄られることなんか無かったのにバイト先と旅行先で知り合った女性と・・・そのう・・・仲良くなったんです。一度だけですが・・・」
「彼女は知っているの?」
「いいえ、そんな事いえませんよ・・・知られたくもないし」
「ずるいのね、あなたもやっぱり男の人ね」
「嫌いになりましたか?」
「ちょっと考えていた雄介さんと違ったから・・・迷ってる」
「続き話しますよ」
「うん・・・」
「バイト先で知り合った香奈枝さんと言う人は俺を男にしてくれたし、教えてもくれた。5歳上の九州の人だったんです。好きな人が他の女性と交際していたことでショックを受け仕事を辞めて実家に帰りました。万博を母親と一緒に見に来た時に、連絡してまた逢いました。今は連絡もしていないし逢うこともないですが、時々思い出します」
「そうなの・・・5歳上の人だったのね。甘えられたわね・・・高校二年生か、思い出深かったでしょうね」
「はい。旅行で知り合った千代子さんも5歳上でした。銀行のOLで見合い結婚をさせられることから逃げたくて旅行に行った先で偶然俺たちの泊まった民宿にいたんです。ちょっとしたことがあって話すきっかけを作りました。京都の人で、初めて逢って深い仲になりました。今度はその人が初体験だったんです」
「ふ~ん、23歳で初めてだったのね。雄介さんのこと一生忘れられないでしょうね・・・罪な人ね」
「そうですか?彼女から誘ってきたんですよ、ホテルに行こうって」
「最後にしたかったのよ。あなたが好きだったから・・・ね?ちがう」
「よく解りましたね。そうなんです。おれ・・・自分が若すぎることを悔しく感じました」
「まあ!彼女がいるのになんと言う事をいうの!その人と付き合って佳恵さんのこと振ってもいいって思ったの?」
「いや、そういうわけじゃないですが・・・千代子さんの心の中を思うと、切なく感じられて・・・」
「優しいのね・・・ダメよ佳恵さんだけを愛してあげなきゃ・・・あなたはきっと人から好かれる性格なのね。特に女性に・・・それも年上に」
「そうですかねえ・・・年齢のことなんか気にしていませんから俺は・・・好きになってくれる人はみんな嬉しいって思うから、そのう、仲良くしたいって思うんです」
「彼女さんが可哀そう・・・あなたを好きになるということはそういう部分を許す気持ちがないと続けられないのかも知れないね。でも結婚したら奥さんと子供の事大切にしてあげてね。家族は仲良く信じあわなければダメ。恋愛の延長じゃないってよく言われるけど
女はずっと好きでいて欲しいの、愛する人には。愛されていないと綺麗で可愛くなんかいられないから・・・心が淋しくなると外見も醜くなるの。ねえ?今の私ってそうなってない?」