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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「哀の川」 第二十三話 危険な香り

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ペンションに着くとオーナーが気持ちよく出迎えて、それぞれはロビーでしばらく寛いだ。直樹と麻子、純一で一部屋、裕子と美津夫、未来で一部屋、杏子と麻子の母親が一緒で一部屋、
にしようと話し合った。夕食までの時間それぞれが散歩を楽しむこととなった。杏子は純一を誘った。やがて二人はダムの方に向かって歩き出した。

「純一、久しぶりね、あなたと一緒に歩くなんて・・・」
「そうだね、杏ちゃんは少しも変らないね、とっても綺麗だよ」
「ありがとう、なんかあなたがすっかり大人に感じるわ。ねえ、手を繋いでもいい?」
「うん・・・でもママや裕子さんに会ったら放してね」
「そうするね」

都会とは違う心地よい風が二人を駆け抜けてゆく。手を繋いで並んで歩く姿は親子にではなく恋人同士に見える。杏子のジーンズとTシャツ姿は純一と示し合わせたように同じ配色であったから
余計にそう見えるのだ。