小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
でんでろ3
でんでろ3
novelistID. 23343
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

閑話休題

INDEX|1ページ/1ページ|

 
たまには、こんな話はどうだろう?

そこにタマがある。他には何もない。
なぜだ? と、聞かれても困る。たまたま、そうなった。としか言えない。

それはどんなタマだろう。つるつるのピカピカだろうか?だけど、傷があったりして……。
それとも、何かのスポーツの球? バスケ、バレー、サッカー、ラグビー……。ラグビー? それだと、丸くない。
丸くないタマといえば、あるいは、それは、弾かもしれない。もちろん、丸い弾もあるが、弾丸といえば砲弾のような形がしっくり来る。
あるいは、タマとは名前だろうか。タマといえば猫。いやいや、それでは、「ある」でなくて「いる」だ。
あれは、なんだ? タマよりも速く、しかし、ミケよりは遅い。 そう、ハイパーマン。
……。話を元に戻そう。
分からないのなら、決めてしまえ。
「ある」と言っている以上、それはあくまで物。形状は、ほぼ球(きゅう)。丸いタマ。
いやいや、それだけじゃあ、まだ何も決まらない。
色は? うーん、何の穢れもない純白。私の心のように。……。いえ、すみません。バカなことを言いました。
では、果たして大きさは?……。ここで、思い出してほしい。タマの他には何もないのだ。比べるものが何もない。それでは、大きさが分からない。
いや、待てよ。これは、新たな問題提起だ。
「何もない」とは、どの程度何もないのだ?
日本では、お客様に何かお出しするときに、「何もございませんが」と言うではないか。
その客が、「あぁ? 何もないだとぅ? じゃあ、これは何なんだよぅ?」とは、絶対に言わない。
ついでに、私の昔話をさせてもらうと、大学時代に友人と4人で金沢の兼六園に行った。言わずと知れた日本三名園の1つの兼六園である。
兼六園に入るや否や、私以外の3人は、ものすごい勢いでズンズンと歩いて行ったのだ。
「なぜ、せっかくの美しい庭園をゆっくり見ないのだろう」と思いながらもついて行くと、3人は唐突に歩みを止め、1人がこう言ったのだ。
「おいっ、どこまで行っても何もないぞ!」
……。話を元に戻そう。
たとえば、何もないといっても、支える物すら無ければ、タマは落ちて行くのではないか?
それとももはや、重力すらないのか?
それとも、床というか、地面に相当するものは、デフォルトで備わっているから「ある」うちに入らないのか?
いやいや、地面どころか、雑草とか生えてたりするけど、無視されちゃってるのか?
これは、重要な問題だ。絵で言うところの背景だ。背景は多くを語る。
ここも、やはり決めよう。
タマと同じ、一面の白い世界が広がっているとしよう。
ここで、君に質問だ。君は、勝手にタマが1つだと思っていないかい? 日本語では、単数、複数は曖昧だ。
そう、タマは2つある。しかも、大きいタマの上に小さいタマが……。



「ちょっと良いかしら?」
奇跡的な忍耐力で、ここまでの話を黙って聞いていた彼女が、初めて口を開いた。
「あなた、ひょっとして、久しぶりに雪が積もったから、雪だるまが作りたいって、言いたいだけだったりするのかしら?」
「なっ、なぜ分かったんだ? いや、これこそが以心伝心。やっぱり僕たちは運命の……」
「どうやら今日別れるのが運命だったみたいね。っていうか、出会ったことも、無かったことにして欲しいわ」
彼女は席を立った。彼は呆然として見送った。追いかけないのだろうか?
……見送ってなどいない。考えていたのだ。それが、何かは知ったことではないが。
作品名:閑話休題 作家名:でんでろ3