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D.o.A. ep.17~33

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Ep.27 明日がため





大本営は、王都モンテクトルである。

第3軍の大勝利は、ソードが行ったのだから、と予想内ではあったが、やはりうれしいものであった。
次の第4軍の勝報は、からくももぎ取ったものだった。死傷者が多く出たらしい。が、勝利にはちがいない。
報告によると、あの不可解な砲弾はうってこないようだ。
大軍港との相違はその点と、陸海軍がちゃんと連携して事にあたれた点にあったようである。
元来、陸海軍の仲は良いとはいいがたいため、悪しき先例があったからこそかもしれなかった。
同じ国の軍隊なのに、と嘆かわしくなるが、それはなぜか大抵の国で起こる不仲であり、そのために武成王がいるといっても過言ではない。
そして、第4軍の勝報と同時に第1軍の壊滅的敗報がもたらされたのである。

「…そんな輩が敵勢におるのか」
ハスカード準武成王は、沈鬱な表情でつぶやいた。
第1軍は、その男か女かはおろか、人間かさえわからぬ何者かの手により、惨敗を喫していた。
被害はすさまじく、軍とよべる勢力を保つのが危ういほどだった。
大本営としてとるべき手は、ここで手元の第5軍から増援をおくってやることである。
ハスカードが命じれさえすれば、明日にも送り始めることが可能であろう。
ただ、彼は迷っていた。
これからいつ何が起こるか、まったく予断の許されない状況に、第5軍という貴重な予備兵力を投じてしまってもいいのか。
それは、大本営の、大方の意見でもある。
苦渋の選択の末、大本営は第1軍に命令を送った。

「―――残った兵で守りつつ待機しておれと伝えろ」

つまり、援軍を送る決断をしたのである。

相手が人間ならばいざ知らず、魔物である今、惨敗したから防衛線を捨てるというわけにはいかない。
大本営の命令は総司令部へ、そして第1軍司令部へとくだった。

この選択が、第5軍の運命の分かれ目となることを、まだだれも知らない。


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作品名:D.o.A. ep.17~33 作家名:har