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せき あゆみ
せき あゆみ
novelistID. 105
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夏色のひみつ

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「なに?」
 拾い上げて見ると、写真だった。
「赤ちゃん……」
 そこに写っているのは、若い夫婦とふたりの赤ちゃんだった。
「ふたごよね……。それにこの人」
 女の人はまちがいなくなっちゃんだ。
 わたしは頭の中が真っ白になって、何も考えられなくなった。心臓の音がやけに耳に響く。息が苦しい。いたたまれなくなって、部屋を飛び出した。
 外に行って井戸の水を汲むと、ばしゃばしゃと顔にかけた。
「ふう」
 水の冷たさで少し落ち着いたわたしは、大きなため息をつくと、その場にしゃがみ込んだ。
 どういうこと?
 なっちゃんは結婚していたの?
 ゆきちゃんたちが先生から聞いた話は、婚約者が死んだっていうことのはず。
 あのふたごはだれ?
 頭の中でいろんな疑問がぐるぐる渦巻いた。
 
「ねえ」
 いつのまにかそばにこがね丸が来ていた。物置の軒下の日陰にいて、ゆらゆらとかげろうみたいに見える。
「何を見たの?」
 こがね丸がわたしに聞いた。
「しらない。それよりあの部屋なんとかしてよ」
 わたしはそっけなく答えた。
「もう、元にもどしたよ」
「そ」
 それっきりふたりとも黙り込んだ。わかったことはひとつ。
 見てはいけないものを見た……ということだった。

作品名:夏色のひみつ 作家名:せき あゆみ