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舞うが如く 第六章 13~16

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舞うが如く 第六章
(13)大地に生きるもの 



 広がりつづける「ワッパ騒動」を封じ込めるために
県も強硬な態度で、激しい弾圧と鎮圧のための工作を開始します。
各地で、騒動の主だった指導者たちが次々と検挙されてしまいました。
松ヶ丘開墾場の幹部たちの元にも、万一にそなえて、軍備を整え、
有事の際の出動を準備するよう秘密裏の指令が届きました。



 開墾場は旧庄内藩の士族たち、3000人の選りすぐりの精鋭部隊です。
60人ずつを各小隊に分けたうえで、30組にもおよんだ組同士は、つねに
競争原理の上におかれました。
目標を持たせて競わせることが、平時の軍事教練にもなっていたのです。




 縦割りに組織された開墾部隊の構成は命令ひとつで、
戦闘集団に早変わりをします。
旧庄内藩の指示のもと、有事の際の軍事力としても通用するように、
元士族たちとその兵力はこうして形の下で温存をされてきたのです。

 この密命は、時をおかずに新徴屋敷に住む琴や良之助達の元にも届きました。
隊長の沖田林太郎らとの会合がもたれ士族たちと共に、有事の出撃に
同行することが再確認をされました。



 琴が重い気分のまま、
いつものように、陸稲畑へと向かいました。



 「どうしなすった、
 今日は顔色が良くない。
 めずらしく、ふさいでおる様子にあるが。」



 老農にそう言葉をかけられた瞬間に、琴が、我に返ります。
呼ばれるままに木陰へと向かい、老農と相対しました。


 「どうやら、
 思案に暮れている有りようじゃな。
 うちの良太といい、そなたの様子といい、
 若い者は悩むことが多すぎる。
 おおかた、両天秤をかけて、どちらにも都合のよい
 結論などを探していると見える、
 それでは一向に埒(らち)があくまい。」


 「分かるのですか。」



 「正直者は、
 みんなそうして顔に出る。
 若いうちは皆、別れ道に立たされた時には一様に悩むものである。
 結果や正解などというものは、あとになってから現れるもので、
 いま見つけようとして、いくらあがいてみたところで、
 事態が右に動くか、左に動くかが解らぬうちは
 悩む事自体が、無駄なことである。
 だが、それが分かるようになるまでは、おおくの時間がかかる。
 それが解るようになるには、
 わしぐらい、老いぼれてからの話であろう」