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命の価値=××

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僕が死んだら君は泣いてくれるだろうか。

ねぇ。
死んでも誰にも泣いてもらえない命に、価値なんてあるのかな?
だから僕は、誰よりも先に死にたいんだ。
友達よりも。
兄弟よりも。
親よりも先に。
そうしたらそのうちの誰かは僕の為に泣いてくれるだろう?
それでも、君は泣いてくれないかもしれないが。
そうさ。君は強い。
君は涙なんて見せない。
けれど僕の命は、その君のプライドを打ち砕くことができるかな?
「そんな賭けみたいな命の捨て方があるもんか」
君は呆れたように言ったけれど、僕は半分本気なんだ。
「なぁ。人間はさ、いや、命ってやつはさ。そこにあるだけで良いんだよ」
諭すように言った君を見詰めて、僕は首を傾げる。
「それを誰が、何が、証明してくれるんだい?」
死ねば誰かが泣いてくれる。僕の為に泣いてくれる。その涙が、その涙しか、僕の命の価値を証明するものなんてないのに。
「お前の親が、兄弟が、友達が笑ってくれる。死んで泣かれるよりよっぽど良いさ」
その笑顔が僕の命の価値を証明してくれるのならば。
僕は、この命をもう少しだけ大切にしようと思えるかもしれない。
「そうなら良いな」
「そうなのさ」
そう。そうならば、僕も笑おう。
君の命の価値を証明するために、僕は精一杯笑おう。
作品名:命の価値=×× 作家名:ハル