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雲は。

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 積乱雲はその時からずっと人間になりたいと思い続けた。
他の雲は言う。
「人間などになった所で気ままに生きれるとは到底思えないな。」
だけど積乱雲はそれを無視する。自分は人間になるのだ。
 そして長い月日が経つ。積乱雲はまだ人間に慣れない。
だけど人間になりたいと言う思い何よりも強かった。
積乱雲は地上に手が届いてしまう程の低空に存在していたのだ。
だけど人間たちは積乱雲を見てこう言った。
「怪物だ。」「妖怪だ。」「食われるぞ。」
ただの雲なのにどうして?私は低空を飛んでいるだけなのにどうして?
ちょっと巨大な雲かも知れないけど、人間が恐れることは普通は無かった。
 怪物と成り果ててしまったのか、妖怪と成り果ててしまったのか
積乱雲は悲しかった。とっても、とっても。
やがて積乱雲は人間よりも何か別のものが欲しくなってしまった。
「欲しい、欲しい、でも何が欲しいのか解らない。」
私はずっと悩んだ。何が欲しいの?
それは解り得ない感情だった。何だろう?風に流されることしか出来ない私が
何を欲するのだろう?
作品名:雲は。 作家名:蜂乃美