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焦心

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君と一緒に家に帰って

同じ石鹸の匂いを絡めて

この腕に君を乗せて

際限ない会話をして

君と共に眠りに就いて

幸せすぎる朝を過ごして

一緒に家を出て

お互い別々の場所で頑張って

また君と一緒に帰って…

そんな日々が僕は欲しいんだ

それと同時に

この距離で見えている幸せが

一緒に暮らすことによって

全く見えなくなって

疲ればかり溜まる関係にまで

成り下がってしまったらどうしようか

という不安が僕に襲いかかって

何時までも堂々巡り

限りある24時間を

君と過ごしたいのに

見失うものの大きさに

僕は尻込みしてしまう

この24時間をもしも

本当に共に生きていけることになったとする

僕はそれを

手放してしまうかもしれない

こんなにもたまらなく

僕は君を想っているのに

時折この想いの大きさに

ついていけなくなる

無意識に僕は

自分が作り出した理想と

実際息をしている君とを

混同させて理想から外さぬよう

君を支配していた

誰かに言われなければ

決して気付けなかった

気付いたからには

僕のやることは一つ

君への熱を冷ますことだ

好きだと口にせず友達に戻ろうと努めて

本能を抑圧して素っ気ない態度をとって

君に嫌われて否定される

君に何度も失恋してどうして僕は

気付かなかったんだろう

望まれない命を潰すのと同じ

捨て古されて毒殺される犬と同じ

受け入れられぬ想いは

僕の一番辛い方法で

葬ってしまおう

でも僕は知っている

そんなこと何日泣き暮れても

僕には出来る筈がないこと

仮に出来たとして

僕は必ずこの痛みから逃げる

目に見えている

国家に否定されても

君に突き放されても

僕は君を諦めることなんて

はなから出来ないのだ
作品名:焦心 作家名:もの