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「姐ご」 13~16

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「姐ご」(13)
 シンジケートの誕生



大井競馬場で、エクセルの馬が重賞を勝ちました。
人気と話題がほしい地方競馬場にとって、これが格好の話題になりました。
勝ったのは廃止になった地方競馬場で調教をされて、
一口馬主達の資金で育った馬です、
いやがうえにも、話題性は充分でマスコミにも
大きく取り上げられるようになりました。



 ほとんど同時に、一口馬主たちの投資も過熱を帯びてきました。
ついに夢が現実となり、確実かつ手頃な投資の対象として注目されてきたためです。
潤沢となった資金に後押しをされて、北海道での新馬の買い付けのために
工藤が毎週のように出張をします。




 本来の「せり」以外にも有望な馬の噂を聴けば、
北海道内各地を飛び歩いてその目で見ては、評価を決め購入をします。
エクセルにしてみれば、第2、第3の重賞場が欲しくてたまりません。
あわよくば、地方から中央に踊り出たハイセイコーのような
「奇跡の馬」を期待しているのです。



 いまやエクセルは、競馬界の次世代を担う馬主スタイルとして
たかく評価をされ、業績も右肩上がりで勢いは日に日に増すばかりでした。



 中央のG1馬の血統をひく優秀馬をはじめ、
競走馬の産地では、毎年数千頭が誕生をしています。
どこの競走馬の産地でも、一獲千金を夢に見て新馬たちを
生産しているのです。



 エクセルの資金力と産地を飛び回る工藤の活躍ぶりが、
第二のプロジェクトを産みだしました。
名もない競走馬を育成して、地方競馬などにデビューをさせ
勝ち星を重ねることで、種牡馬としての価値を付加しょうという試みでした。


 牛や豚、羊などの畜産では優秀な種牡の精子を採出して
凍結保存することが許されていますが、競走馬に代表される馬産では、
人工授精や凍結精子の利用などによる人工的な妊娠手段が拒否されています。
凍結した精子は保存や運搬、売買が容易ですが、馬産においては
常に生きた種牡馬が生きた繁殖牝馬(種牝馬)に
直接交配をする必要があるのです。

 それゆえに、優秀な種牡馬があっても
繁殖牝馬にとって移動不可能な地域にいては交配ができないし、
またいずれは寿命で死んでしまうために、
生産界においては、常に新しい優秀な種牡馬を創出し
発見する必要があるのです。



作品名:「姐ご」 13~16 作家名:落合順平