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笑ミステリー 『女王様からのミッション』

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「えっ、いいのですか? ありがとうございます」
 クラマは本当に嬉しそうだ。

 本物の青バラは掛け合わせの品種改良では絶対作れない。そのせいか、この地球上にはまだ出回っていない。そんな珍しい青バラを、高見沢はお土産に持ってきた。そして、その甲斐あってか、グリーン・アイズを持つクラマと言う女性に、とにかく話しを聞いてもらうところまでは漕ぎ付けた。
 マキコ・マネージャー発案の青バラ作戦、それはここまでは一応大成功。
「それでちょっと聞いて欲しいのですが、こんな青バラが一杯咲いているバラ園があるのですよ。それは京都祇園の地下にある邪馬台国。そこの第六七代・卑弥呼女王がその地下女王国を統治されているのですよ。その卑弥呼女王が貴女にぜほお会いしたいと仰っています」

 高見沢は思い切ってここまでを一気に喋った。するとすぐに「どうして卑弥呼女王は私に逢いたいと仰ってるですか?」とクラマが聞き返してきた。
「実はね、卑弥呼女王も、クラマさんと同じグリーン・アイズなんですよ」
 これを聞いて、クラマはさらに高見沢の話しに興味を持つ。
「へえ、そうなのですか、私と同じグリーン・アイズを持った方が、この日本にいらっしゃるなんて、信じられないわ。ぜひお逢いしたいものですね」
 その上にクラマは神妙な顔付きとなり、奇妙なことを言い出す。

「ところで高見沢さん、一つ伺ってもいいですか。私の名前はクラマなのですが、京都に【くらま】って言う所がありますよね。それってどんな所なのですか? 【くらま】って言う所の夢をよく見るのですよ、それも不思議な夢で……。くらまの山に、星がキラキラと降る夢なのですが」
 クラマは青バラの香りを嗅ぎ、穏やかな緑目で高見沢を見つめる。高見沢もやっと落ち着いたのか、とにかく知る範囲で丁寧に答える。

「鞍馬山のことですよね、ありますよ。上加茂(かみがも)から北へ、左に行けば貴船、右に行けば鞍馬、その間に鞍馬山があります。そうですか、鞍馬の山に星が降る夢ですか、鞍馬山は歴史が古くてね、たくさんの伝説があるのですよ」
「どんな伝説があるの?」
 クラマが高見沢の話しにグリーンの目を輝かせる。
「そうだなあ、例えば、幼い義経は遮那王(しゃなおう)と呼ばれていたのだけど、武芸の相手が天狗、この天狗達が宇宙人だったとかね。それとか、六百五十万年前に人類救済のために、魔王尊(まおうそん)・サナート・クマラが焔(ほのお)の君たちを従えて、UFOで金星から舞い降りたとか」