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笑ミステリー 『女王様からのミッション』

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「ファイナル・アンサーはまさしく青バラよ。高見沢さん、お土産には本当の青バラを持って行くことよ」
「本当の青バラって?」
 高見沢はその「本当」の意味がもう一つ理解できない。そのせいか言葉が止まらない。
「ブルー・ローズと言えば、英語では不可能という意味だぜ。確かにどっかのウイスキー・メーカーさんが遺伝子交換で青バラを作ったけれど、まだ世間には出回っていないしね」
 マキコマ・ネージャーは高見沢のそんな講釈を聞き流しながら、手にあるコーチのバックから一つのケースを取り出した。

「邪馬台国はバイオ立国よ、青バラの開発は十年前に完了しているの。もうすでに地下には青バラ園があるわ。さっ、これを持って行きなさいよ」
 マキコ・マネージャーはそう言いながら、ケースをおもむろに開いてみせた。するとそこには、見事に大きな花を咲かせたブルー・ローズ、そう、青バラが入っていたのだ。
「へえー、こんなバラって初めて見るよなあ。この世の中に、こんな深い青色のバラがあるなんて、信じられないよ。マキちゃん、これどうやって作ったの?」

 高見沢は驚きで目を丸くする。
「花の色の発現色素は六種類あってね、ペラルコニジン/シアニジン/ペオニジン、それにデルフィニジン/ペチュニジン/マルビジンよ。この中で青色の発現は、どれだと思う?」
 マキコ・マネージャーは突然得意気に訊く。しかし高見沢は面倒臭く適当に答える。
「そんなの鮮やかな青は、デルフィニジンに決まってるだろ。だけどバラの遺伝子には、残念ながらデルフィニジンを誘導して、青の発現命令を出す酵素がない、だから交配を何回繰り返したって、そりゃ科学的に青色は出て来ないよなあ。多分そうだろ?」
「高見沢さん、よく知ってるじゃん、そこまでわかってたら後は簡単よ。青バラを作るのに高見沢さんだったらどうするの? ちょっと真剣に考えてみて」
 マキコ・マネージャーはさらに突っ込んできた。

「うーん、これは結構難問だね。もし正解したら、マキちゃんのその熱くてとろけるようなキッスをくれるか?」
「アホ! もっとまじめに物事を考えなさいよ!」
「へ〜い! えっと、えっと、あっそうか、わかったぞ」
「はい、答は? もし正解だったら、投げキッスぐらいだったら、して上げても良いわよ」
 マキコ・マネージャーはきつい性格の割にはどこかちょっと緩んでらっしゃる、そんな女性のようだ。