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笑ミステリー 『女王様からのミッション』

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 南国の風が肌を心地よく擦(さす)っていく。
 高見沢一郎は沖縄那覇空港に降り立った。そして、今レンタカー会社へのシャトルバスを待っている。
 横には夏子がいる。やはり沖縄の日差しは暑くて痛い。
 久しぶりの休暇を取って、高見沢は夏子と二人で沖縄まで出掛けてきたのだ。

 朝、JR京都駅から〔はるか〕に乗り関空へと。そして、抜けるような初夏の青空へと離陸した。
 今は昼過ぎ。時間はあっという間に過ぎてはいくが、普段の煩雑(はんざつ)な生活から離れ、リゾートで自由な時間が満喫できるかと期待も膨らみ大満足だ。
 これからレンタカーを借りて、少し観光もしながら万座毛(まんざもう)の近くにあるビーチ・ホテルに向かうことにしている。

 高見沢は久し振りに、なにか胸がワクワクするような心持ちを覚えているのだ。夏子からも解放された楽しい気分が伝わってくる。
 高見沢は夏子が詰めてくれた大きめの旅行バッグをしっかり抱え、シャトルバスを満ち足りた気分で待っている。
「どんなレンタカーなのかなあ。カーナビ付きで、上クラスを頼んでおいたよ」
 高見沢は夏子へ話し掛けた。
「そうなの」
 夏子は暖かな南国の風に酔っているのか、そんなことはあまり気にしていない風。とは言っても、二人にとって沖縄は初めての土地、地理勘はない。そのため高見沢はカーナビゲーター付きに拘(こだわ)り、予約しておいたのだ。