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ウエツグ上次
ウエツグ上次
novelistID. 33611
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話の海を泳ぐ

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部屋にいる。
とても狭く、とても白い。
壁にはビスが均等に打ってある。

トイレほどのスペース。
僕は一人
その部屋に座り込む。
一冊の本がある
小さな話が幾つもある本だ。
どれぐらいの厚さなのかもわからない。
どこまで話があるのかもわからない。

僕はいつもダイヴした。

がんがんがん。
音がする。
がんがんがん。
ドアの外から。
たったひとつのドアの外から。
「僕は自分の話を書けるようになにました。」
がんがんがん。
それでもまだ、僕の中にはあなたがあるようなのです。

がんがんがん。
僕を呼ぶ僕の音がする。

どうやら外は広いようだ。
小さくて、幾つもある広い真っ白な空間を真っ黒なモノ等と泳いだから
なんとなく
解かった気がする。

がんがんがん。
ノックが僕を急かす。

部屋に亀裂が入り箱が空くように部屋は開いた。
ドアはただの飾りであったようだ。
必要な不必要なものだったのだろう。



そうだ。外は広く色とりどりだ。





しかしまた、

僕はいつでもあの小さな場所にダイヴする。
作品名:話の海を泳ぐ 作家名:ウエツグ上次