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でんでろ3
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novelistID. 23343
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計画停電の夜

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「まだかなぁ?」
「そろそろだろ」
「中止だったりして」
「それは無いだろう」
「あっ、消えた」
計画停電は初めてではなかったが、夜になってからというのは、初めてだった。
「翔太、大丈夫か?」
「大丈夫だよ」
「一人でトイレに行けないくせに」
お姉ちゃんが揶揄するのも仕方ない。翔太は、もう中学校に上がるというのに、一人でトイレに行けない。昼間でもだ。
「お義母さん、ランタンつけますか?」
「いいでしょ。みんなで寝ましょう」
ついさっきまで、エアコンで暖めていた居間で仲良く雑魚寝を決め込んだ。家の中を暗くしても、外が明るければ、ここまでは暗くならない。キャンプにも行ったことのない子供たちには、初めての暗さだ。
「なんだか不思議な感じだね」
お姉ちゃんが言う。
「ねぇ、なんか話そうよ」
と、翔太。
「計画停電のおかげで、家族の対話が増える家って、多いんじゃないかしら」
これは、お母さん。
「ねぇ、お父さんは子供のころ何になりたかったの?」
「お父さんはねぇ、科学者になって巨大ロボを作りたかったんだ」
「えー! 出来るわけないじゃん」
「将来の夢が、ムシキング博士だった翔太に言われたくない」
「それは、保育園のころの話でしょ」
「お父さんだって、それくらい小さかったころの話です」
私が憮然として言う。
「じゃあ、翔太の今の将来の夢はなんだ?」
「清掃局の職員」
「また、打って変わって地道だな」
「いいでしょ」
今が超就職氷河期であることを考えると、大きいんだか小さいんだか分からない夢だ。
「お姉ちゃんは?」
「小説家だよ」
「あっ、やっぱり変わってないのね」
「お父さんが変なものばっかり書いてるからよ」
今度はお母さんが憮然とする。
「そういうお母さんは何だったの?」
「まぁ、科学者というか研究者というか……。漠然としてだけど」

 その後、何を話しただろうか。とりとめのない話が、ぽつりぽつりと闇に吸い込まれていったような気がする。

「あっ、ついた」
不意に部屋が明るくなった。
「予定より早かったな」
時計を見て私が言った。

 被災地の方には、本当に申し訳ないが、計画停電も悪くはないな、と思ってしまった。
作品名:計画停電の夜 作家名:でんでろ3