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充溢 第一部 第十九話

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第19話・1/3


 ミランダによる工房の監視は、自分の感じる分にはなかった。
 もし常に私たちを見続けているのであれば、とても混乱したことだろう。女と男が入れ替わり立ち替わり表れるのだから。そうすれば、いつか、飛び込んで来て大変な悶着が始まるに違いない。
 工房を遠ざけているのは、自分とシザーリオが仲良くやっているのを見たくないからだろうか。街でしばしば接触する事はあっても、それ以上何も起こらないらしい。
 さっさと告白してしまえと願うが、ミランダに逢えない以上、その手のアドバイスすら出来ない――ミランダが私の事を"シザーリオの良い人"と思い込んでいる限り、そのアドバイスを聞き入れるとも思えないけれど。

 一方、ポーシャの方も、ネリッサが気になるみたいだ。私が一人になったとき、しばしば訪れては、茶を飲んでいく。
 仕方が無いので、はっきりと聞いてみたり、はたまた婉曲に探ってみても、狙いは教えてくれない。


 そんなある日のことだ、ポーシャがいつものような様子でない、固い様子で扉を叩いた。
「スィーナー、今月の論文誌を読んだかね?」
 プリージに持って行く前に、ポーシャにも論文を見せていた。その論文は訂正されることなく掲載された。それ自体は上出来だと褒められたが、その声は鋭かった。
 何を言い出すのか分かっている。
 その論文には私の名前が載っていない――ポーシャは明らかに怒っていた。思い返せば、ここまで明確に怒りを表現したことはなかった気がする。
「約束ですから」
 なるべく気を落ち着かせて、冷静に答える。
「分かっていたのか?」
「ええ」
作品名:充溢 第一部 第十九話 作家名: