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2006-2010 詩集Ⅰ『あさ』

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22.

     仲間が一人去る度に
      心は血を流した
    また私は逝きそびれたのか
   体と心を裂くやるせない想いは
     ひとりひとりと減る度に
    癒えない傷をじくじくと刺す

  去った仲間達は安堵しているだろう
別れの度に感じたあの痛みから解放されたことを
     しかし残された私は
    相変わらずそれを抱え込む

      取り残された私を
  仲間達は覚えていてくれるだろうか?
  理という鎖から解放された彼らは
 まだその中に身を置く私を忘れているだろう
     既に理を忘れたように
       別れの痛みも
         忘れて
       残された私には
 変わらずその痛みがやってくることも忘れて

    空に浮かんでいく彼らを見て
      私は更に地に沈む

       楽になって行く
       次こそは私の番と
   淡い諦めにも似た陰りが体を包む
         刹那

   そしてその魅惑に呑まれたものは
      早く楽になりたくて
       また一人去る

    しかし私はここを動かない
      次に誰が去ろうと
     誰が痛みを与えようと
        残された
         私は
     去っていった彼らの分も
    哀しみと痛みに苛まれながら
  僅かに残された希望に身を委ねるのだ
    彼らが置いて行ったものを
         全て
     この体に刻み付けて行く
       痛みも哀しみも
       喜びも想いも

       次は決して訪れない
      私の番はやって来ない
      彼らの痛みを全て
  この身に引き受けなければならないからだ
        でなければ
  誰がその痛みを覚えていられるだろう?
        これは使命だ
        これは天命だ


  例えこの場所に最後の独りになろうとも


『March 06, 2007 -- 黄昏』