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舞うが如く 第三章 13~15

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年が明けた文久4年、2月の半ばに
「元治」に、年号が変わりました。
その6月のことでした


 かねてから探索を重ねていた密偵が
京都河原町四条上ル東で、
古道具や馬具を商う・枡屋喜右衛門を怪しい存在として
嗅ぎだしました。

 さらなる張り込みと探索の結果、
この男が早くから宮部鼎蔵らとも交流し、有栖川宮との間をつなぐなど
長州間者の大元締として、情報活動と武器調達にあたっている
などの確証をつかみ、男の正体も、古高俊太郎と見破りました。


 古高俊太郎は、
近江国栗太郡古高村(現・滋賀県守山市)出身で
大津代官所の手代・古高周蔵の子で、母は公家の広橋家家来の娘です。
父・周蔵が山科毘沙門堂門跡に仕えたのに際し京都へ移住し、
尊皇攘夷を唱える梅田雲浜の門を叩きました。


 6月1日の早朝、
踏み込んだ新撰組によってその身柄が拘束され、
武器や弾薬も押収されてしまい、
諸藩浪士との書簡や血判書なども発見されました。
壬生の屯所・前川邸の蔵で、局長・近藤勇、副長・土方歳三から
直々に厳しい取調べを受けた結果、
おどろくべき謀略と、その計画が自白されました。


 その内容とは、
八月十八日の政変後、京都を追われた長州人らが
6月下旬の強風の日を選んで御所に火を放ったのち、佐幕派公卿の
中川宮を幽閉し、京都守護職の松平容保以下佐幕派大名を殺害して、
天皇を、長州へ連れ去ろうという策略でした。
 すでに計画実行のため、志士たちが多数上洛し、
近々市中で、その同志たちの集会があることが判明します。


 前々から噂されてきた長州一派による
尊攘と討幕の策動が、初めて新撰組によって暴かれた瞬間でした。


 新撰組の探索活動が、さらに厳しいものとなります。
その探索の結果、長州藩士・土佐藩士らが頻繁に出入りしていた、
四国屋と、池田屋が会合の場である可能性が浮上してきました。