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理沙と武志

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9ばん


 そして放課後。良助はどんどん舞い上がっているように見えた。
「いやなあ、昨日は写真だけだったけど、今日はそれ以上の収穫を目指すぜ」
 周囲は面白そうにはやしたてていたが、武志はしぶい顔をしていた。良助はそれに気づいて、わざとらしいオーバーアクションをしながら、武志を指さした。
「なんだかノリが悪い奴もいるみたいだけどな、俺はやめないぜ。それはなぜか!」良助はぐっと握りこぶしを天井に向かって突き上げた。「諸君! ここは我らが学園だ! そんなところを変態の侵入者野郎に好きにさせとくわけにはいかないからだ!」
 拍手喝采。良助はそこらじゅうの連中と握手してまわった。唯一、相変わらず面白くなさそうな顔をしているのは武志だけだった。しばらくの間、教室はそんな雰囲気が支配していたが、しだいに落ち着いて、いつの間にか、良助と武志だけが教室に残っていた。
「お前さ、何でまだ残ってんだよ。基本帰宅部だろ」
 良助はニヤニヤしながら言った。武志はそっちを見ずに手だけ振った。
「お前と同じで好きなことだけやってるんだ」
「そうかい」良助は武志の肩に手を置いた。「じゃ、楽しいことを探しに行こうぜ」
「男2人でか? むさいと思わないのか?」
 いつの間にか教室の出入口に理沙が立っていた。良助はにやりと笑った。
「女が1人加わればOKか?」
「その通りだね、武志くん」理沙はふざけた調子でそう言うと、武志に歩み寄って、その腕をとった。「じゃ、とりあえず落ち合う場所を決めときましょうか。ずっとここでたむろしてるわけにもいかないし」
「おいお前ら」武志は良助と理沙の腕を振り払った。「人の意思を無視するなよ」
「何が意思だよ。ここまで居残っておいて今更そういうこと言うなよ」
「そうそう、恥ずかしがらずに自分の気持ちに正直になったほうがいいと思わない? いつもやってるみたいにさ」
「いいかげんなこと言うなよ」
 そう言いながらも、武志は帰る様子も見せずに座ったままだった。
「素直じゃないのも、困ったもんね」
 理沙は理解がありそうな、含みのある笑顔を浮かべていた。

作品名:理沙と武志 作家名:bunz0u